[I-P-176] 修正大血管転換における三尖弁置換術の検討 ―至適手術時期と予後―
キーワード:修正大血管転換, 三尖弁置換術, 心不全
【背景】修正大血管転換(CCTGA)において、Double switch術を行っていない場合や機能的修復としてRastelli術(以下R術)を行った二心室循環症例では、三尖弁閉鎖不全(TR)と解剖学的右室の機能低下が問題となる。これらの症例ではTRに対して人工弁置換術(TVR)が行われることが多い。本邦でのCCTGAに対するTVRは症例報告の程度でまとまった報告は少ない。【対象・方法】二心室循環のCCTGAに合併するTRに対して当院でTVRを施行した5例について検討。大きなVSDやPS/PAなどがなく初回手術としてTVRが行われた症例が2例(N群)、R術の後にTVRが行われた症例が3例(R群)であった。【結果】N群のTVRはそれぞれ8歳時(無症状)および9ヶ月時(心不全と房室ブロック悪化)。R群ではそれぞれ8歳(R術後3年4ヶ月、無症状)、17歳(R術後11年、無症状)、16歳(R術後11年、心房粗動)。N群の2症例は術前はCTR>60%、RVEF>60%であった。術後経過は良好でCTR<55%、RVEF>60%を維持しており心不全症状はない。R群の3症例の内、1例は術後に心室性不整脈とLOSに陥り術後管理に難渋し重度の心不全症状が残存した。その他の2例では術後急性期経過は良好だったが、1例ではCTR=65%, RVEF<40%で心不全症状が残存。もう1例は術後CTR<55%、RVEF=54%で無症状に経過。【考案】N群の術後経過および長期予後は良好であったが、R群では術後経過が不良な症例がありTVRの時期が遅かったと考えられた。TVRの至適時期としては心不全症状、新規不整脈、解剖学的右室機能の低下が現れる以前が望ましい。またCCTGAに対してのTVRは長期予後に一定の効果があるものと思われた。