[I-P-177] 小児期に修復術を行ったEbstein病の中期経過
Keywords:Ebstein病, Carpentier手術, cone手術
Carpenteier法、da Silba法(cone手術)などによる広範な三尖弁・右室形成を行った重症三尖弁逆流(TR)を伴う小児期Ebstein病の中期経過について報告する。【対象】2007~2011年に7歳(27.7kg、女児)・2歳(12.7kg、女児)・16歳(44.1kg、男児)で手術を行った3例。いずれもASDを合併し、症例3は頻回の上室性頻拍発作・心房粗動/心房頻拍(偽性心室頻拍)のため繰り返す緊急入院、3回のカテーテルアブレーションの既往(不完全治癒)があった。いずれも低酸素血症は見られなかった。【手術】Carpentier法・da Silba法(cone手術)を基本とし、三尖弁前乳頭筋転位授動、人工弁輪による補強(症例1,3)、人工腱索など複数の手技を併用した。症例1では右室自由壁の縫縮も併用した。症例2ではBDG吻合を追加、症例3は術中心室中隔部の残存異常房室伝導路に対する凍結凝固から房室ブロックとなり、DDDペースメーカー植え込みを行った。【中期経過】術後経過期間および最近の体重は95か月(48.4kg)、67か月(33.8kg)、43か月(50.6kg)と成長は良好で、Xp上CTRは(68,61,56%)から(46,49,49%)へと減少後ほぼ一定で推移した。三尖弁機能は流入速度(E波/A波)1.14-1.22/1.03-1.32m/sec、逆流は軽微2、軽度1で、増悪傾向はない。BDG併用例でのBDG血流は良好であった。左室は圧排が消失し内径(対正常比)97,96,90%であった。心調律は洞調律2(うち1例で安静時Wenckebach型伝導障害が見られるが、体動により消失)、DDDペーシング1(頻脈発作なし)で経過している。手術時以降入院歴なく、いずれも無投薬となった。活動度はNYHA機能分類1度、QOLも良好で、就学・就職している。【まとめ】積極的な三尖弁・右室形成による修復を行った小児期Ebstein病例は身体発育に合わせて弁機能・心室機能は良好に維持され、順調な中期経過を示している。