[I-S01-05] 機能的単心室右側相同新生児における狭窄性心外型総肺静脈還流異常に対する外科治療とカテーテル治療の比較 —Draining Vein Stentingは生存率を改善できるか—
キーワード:right atrial isomerism, univentricular heart, total anomalou pulmonary venous connection
【背景】機能的単心室(fUVH)・狭窄性肺静脈狭窄(oTAPVC)を伴った右側相同(RAI)の新生児期oTAPVCの外科治療(SI)成績は不良である。当院では2007年以降に初回治療としてDraining Vein Stenting(DVS)を試みてきた。新生児期に施行したSIとDVSの違いに関して比較検討した。【方法】1990年から2013年の間にfUVH・oTAPVCのRAI患児49症例中oTAPVCに対して新生児期に治療介入した15例(男児11例,中央値の在胎週数: 39週・出生体重: 2.8kg・初回治療日齢: 1,TAPVC型: supracardiac 7, infracardiac 6, mixed 2)をSI群とDVS群の2群に分類し,患者背景,治療後の経過,死亡原因などに関して2群間で比較した。【結果】SI群は11例,DVS群は4例。胎児診断の有無,性別,在胎週数,出生体重,TAPVC型,心血管奇形(全例CAVC, DORV),術前のSpO2・人工呼吸管理・蘇生処置の有無,初回治療日齢には差がなかった。初回治療後早期の死亡例はSI群が7/11,DVS群が0/4。死亡率に最も影響している要因として高侵襲によるcapillary leakage(DVS群は全例軽度以下,SI群では全例重度)および肺血管抵抗の不安定から生じた肺高血圧クリーゼまたは急激な高肺血流への移行が考えられた。 DVS群の1例は3か月時に感染で死亡,残3例は両方向性Glenn (BDG)時にoTAPVCのSIを施行。BDG到達率はSI群が3/11,DVS群が3/4,Fontan到達率はSI群が2/11,DVS群が1/4,3年生存率はSI群が2/11,DVS群が2/4(1例はまだ1歳)と統計学的有意差はないが,DVS群の方が成績良好と判断される。両群ともFontan術後に1例ずつ蛋白漏出性胃腸症合併のため死亡。肺静脈狭窄は両群とも術後遠隔期の問題(合併率50%)であった。【結論】fUVH・oTAPVCを伴ったRAIにおいて,新生児期DVSは低侵襲なゆえに術後の死亡率を大幅に低下でき,結果としてBDG・TAPVC repairへ到達できる。Fontan手術の適応条件を厳格にすることで,遠隔成績が改善される可能性があると考えられる。