[I-S01-07] Heterotaxy Syndromeに合併した敗血症の検討
キーワード:無脾症, 敗血症, 肺炎球菌
【背景】heterotaxy、特に無脾症患者は肺炎球菌感染症に罹患しやすくしばしば重症化し致死的な経過をたどることが知られている。本邦では米国に大きく遅れて肺炎球菌ワクチンが定期接種化された。【目的】heterotaxyに合併した敗血症の臨床像を明らかにし、今後の対策について検討すること。【方法】当院においてheterotaxyと診断された患者41人を対象に、敗血症罹患の頻度、発症時年齢、原因菌、ワクチン接種歴、予後を後方視的に検討した。【結果】heterotaxy 41人のうち無脾症は27人、多脾症は14人で敗血症の罹患は6人7例、全員が無脾症患者であった。発症時の年齢は2ヵ月から5歳2ヵ月(中央値4歳9ヵ月)。原因菌は肺炎球菌6例、インフルエンザ菌1例。肺炎球菌の血清型を調査したのは3人4例で、19A(13価、23価ワクチン含有株)、10A(23価ワクチン含有株)、22F(23価ワクチン含有株)、1例は調査中だがワクチン株に含まれる血清型ではなかった。3人はいずれも7価ワクチンは接種していたが13価、23価ワクチンは未接種であった。6例は治療に反応し後遺症なく治癒したが、1例は敗血症性ショックによる低酸素性虚血性脳症、下肢壊疽となった。【結語】無脾症患者は敗血症罹患のリスクが高く、短時間で急速に悪化する例もある。肺炎球菌感染予防は現行のワクチン定期接種のみでは不十分であり、23価ワクチンも加えたワクチン接種計画を再検討する必要がある。