第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

Presentation information

シンポジウム

シンポジウム1
Heterotaxy Syndrome治療の最前線

Thu. Jul 16, 2015 9:00 AM - 10:30 AM 第1会場 (1F ペガサス A)

座長:
坂本 喜三郎 (静岡県立こども病院)
朴 仁三 (東京女子医科大学)

I-S01-01~I-S01-08

[I-S01-08] 成人の内臓錯位症候群患者の臨床像

蘆田 温子, 稲井 慶, 森 浩輝, 狩野 実希, 小暮 智仁, 朝貝 省史, 島田 衣里子, 篠原 徳子, 富松 宏文, 中西 敏雄 (東京女子医科大学 循環器小児科)

Keywords:内臓錯位症候群, 成人先天性心疾患, 多脾症・無脾症

【目的】近年、外科的手術方法の進歩からも内臓錯位症候群の長期生存症例が増加しており、当院でも成人に達する症例を経験する機会が増えている。そこで、成人に達した内臓錯位症候群のQOLや合併症を調査し、問題点について検討した。【方法】2014年1年間に当科を受診した20歳以上の内臓錯位症候群77例を対象に、年齢、心疾患診断名、既往手術、SpO2、NYHA、就業・就学の有無、過去5年間の心不全入院の有無、不整脈の既往、ペースメーカー留置の有無、全身合併症などを検討した。【結果】無脾症26例、多脾症51例。男性31例。年齢中央値29歳(20-69歳)。手術未施行例が8例(10%)あった。手術既往例のうち、単心室修復は53例、二心室修復は16例(14例は多脾症)。単心室修復のうちFontan手術まで至っている例は44例(83%)、Glenn手術までが2例、shunt術のみが5例、その他が2例であった。SpO2は、90%以上が49例(64%)、90%未満は17例(22%)、不明が11例あった。NYHAは、1度が30例(39%)、2度が33例(42%)、3度が10例(13%)。就業は50例(65%)、就学は5例(7%)であり、就業も就学もしていないのは17例(22%)、不明5例であった。10例(13%)は心不全入院の既往がみられた。不整脈は40例(52%)に認められた。ペースメーカー留置14例(18%)のうち13例は多脾症であった。また、成人期以降に重症感染症に罹患した症例が6例で、うち多脾症が5例であった。【結語】外科治療の進歩により確実に本症の成人例は増えており、今後も増加することが予想される。無脾症、多脾症の単心室修復では、Fontan循環の破たん、多脾症では不整脈、感染症などが大きな問題点である。