[I-S02-06] 先天性心疾患に伴う大血管構築異常の形態シミュレーション:心エコー画像を用いた3次元コンピューターグラフィックスの作成
Keywords:心エコー, コンピュータグラフィックス, 先天性心疾患
【目的】当施設では新生児先天性心疾患の形態診断は全例心エコーで行っている.3次元エコーにより心内の立体構築は可能になったが,左心低形成症候群や大動脈縮窄/離断,大血管転位など大血管構築異常の立体構築はできない.また心エコー検査者が持つ3次元イメージの表現方法がなく,外科医を含む診療チームでの3次元イメージ共有は困難である.我々は心エコー画像から3次元コンピュータグラフィックス(3DCG)を作成するためのシステム開発を進めてきた.現在の到達点を報告する.【方法】3DCG作成システムは,左画面に水平断面を連続的に記録した心エコー動画像を,右画面に心血管モデルとエコービーム平面を表示する.心エコー動画像を参照しながらテンプレートモデルをマウス操作で編集して心血管モデルを構築する.血管は位置,径,狭窄の表現,追加,削除,切断,接続が可能である.また心室中隔欠損を作成し,位置や大きさ調整が可能である.血管モデルと心腔モデルが近づくと自動的に滑らかになるように接続され,接続部心腔モデルが変形する.同時期に心エコー検査および胸部造影CT検査を施行した大血管構築異常を伴う先天性心疾患の乳児5例(左心低形成症候群,大血管転位,総動脈幹,大動脈縮窄,両側肺動脈絞扼術後)を対象とし,上記の方法で作成した大血管構築異常の3DCGと立体構築した3DCT画像を比較検討した.【結果】3DCGは3DCTに比して概ね正確な大血管立体構造を表現していた.精細さでは劣っていたが,血管の狭窄や途絶の有無は正確に把握できた.水平方向の相互位置関係は正確であるが,上下方向は心エコー検査者の錯覚によると思われる差異がみられた.【結語】本システムの3DCGによる形態シミュレーションは,精細さや上下方向の位置決定に改善が必要であるが,非侵襲的にベッドサイドで構築することができ,チーム医療だけでなく教育訓練にも有用である.症例を蓄積して臨床実用を目指している.