第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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シンポジウム

シンポジウム5
小児心不全の治療

Thu. Jul 16, 2015 10:40 AM - 12:10 PM 第3会場 (1F ペガサス C)

座長:
石川 司朗 (福岡市立こども病院)
村上 智明 (千葉県こども病院)
コメンテーター:
Shelley Deanne Miyamoto(University of Colorado Denver Children's Hospital Colorado, USA)

I-S05-01~I-S05-05

[I-S05-04] 乳幼児期の左脚ブロックを伴う心室非同期に対する心臓再同期療法

坂口 平馬1, 羽山 陽介1, 宮崎 文1, 佐々木 理1, 帆足 孝也2, 鍵崎 康司2, 市川 肇2, 大内 秀雄1 (1.国立循環器病研究センター 小児循環器科, 2.国立循環器病研究センター 小児心臓血管外科)

Keywords:心臓再同期療法, 乳幼児, 先天性左脚ブロック

【背景】近年、乳幼児期の左脚ブロック(LBBB)を呈する重症心不全に対して心臓再同期療法(CRT)が著効する報告が散見される。心不全の重症度に比してそのsuper responsibilityからその機序は単純に心筋疾患とは考え難い。【目的】乳幼児期に心不全を呈したCRT candidateの臨床像からその機序、適応および効果を検討した。【方法】対象は乳幼児期より心不全を呈し、当院でCRTを施行した6例。CRT前後のfunctional status、心電図所見、3Dエコー所見を比較した。また、乳児期のLBBBの原因検索として家族の同意の得られた症例では患児および母の抗SS-A抗体価を測定した。【結果】心不全の発症は中央値3.0 (range 2-20)ヶ月で、血行動態の改善の後、 中央値5.0 (2-133)ヶ月でCRT植え込みを行った。1例は当初、両親が侵襲的な治療を希望されず10年の慢性心不全治療の後にCRT植え込みに至った。全例LBBBパターンの心電図を呈し平均QRS幅は146±23から105±14 (p<0.01)に短縮、mRoss classificationは3.7±0.5から1.2±0.4 (p<0.01)と劇的に改善した。3Dエコーでのsystolic dyssynchrony indexは16.9±3.3から5.7±3.0 (p=0.002)と有意に改善した。Dyssynchronyの機序はRoss-Konno術後のsurgical LBBBが1例、心筋症が1例、2例で母体抗SS-A抗体に起因すると思われる先天性LBBBと考えられた。残りの2例は原因不明の先天性LBBBであった。【考察】dyssynchronyの機序が伝導障害に伴う二次性であれば、右室pacing起因性心筋症と同様にCRTが第一選択となり得る。よってdyssynchronyの機序を究明することは重要な課題と思われる。【結論】CRTは乳幼児においても様々な機序のLBBB、LV mechanical dyssynchronyを伴う心不全に対して、非常に有効な治療選択肢である。胎生期の抗SS-A抗体暴露は左脚伝導障害からdyssynchronyへ進展する可能性が示唆された。