[I-YB01-02] ファロー四徴症術後の左室拡張期の運動エネルギー損失指標の評価
Keywords:血流運動エネルギー損失, Vector Flow Mapping, ファロー四徴症
【背景】心機能におけるchamber/wall kineticsの報告は多いが、左室内の血流運動エネルギーが心機能に与える影響については報告はない。【目的】Vector Flow Mapping (VFM)を用いて、ファロー四徴症術後患者(TOF)において左室拡張期の血流運動エネルギー損失(EL)と左室駆出心機能指標との関係について検討すること。【方法】対象は、TOF 20名(年齢;14±9.3歳、術後;140±94ヶ月)および正常小児(N)16名(年齢;8.9±4.6歳)。心臓超音波装置はProsound F 75(日立・アロカ社)で、心尖部長軸断面の2DカラードップラをVFM解析用に記録し保存。 Off-line外部解析ソフトDAS-RS1(日立・アロカ社)(Itatani K et al)を用いて、拡張期の左室内各2次元座標軸上の血流運動エネルギーを算出し、その差分から血流運動エネルギー損失(EL)を算出。 また僧帽弁通過血流から算出した拡張期左室流入エネルギー(KEin)を算出しEL/KEinを求め、time-Flowから算出した左室駆出量(Q)や他の心機能指標と比較した。【結果】TOF群では、N群に比しdEL/KEin は0.16±0.12 vs 0.062±0.029 (mean±SD)と 有意に高値を示した。TOF群においてはEL/KEinと心拍出指標のQとの間には,有意な負相関(y= 21.0 X + 11.5、R=-0.637,p=0.00255)があった。EL /KEinと他の心機能指標(EDA, FAC, s’, e’, a’, E/A, E/e’など)との相関は得られなかった。【結語】TOFにおける左室拡張期の血流運動エネルギー損失は、左室のchamber kineticsやwall kineticとは独立して左室の心拍出に影響を与えている。