第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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要望演題

2-03 外科治療遠隔成績

要望演題2
両側肺動脈絞扼術

Thu. Jul 16, 2015 11:00 AM - 11:50 AM 第4会場 (1F ジュピター)

座長:
新保 秀人 (三重大学)
原田 順和 (長野県立こども病院)

I-YB2-01~I-YB2-05

[I-YB02-02] 両側肺動脈絞扼術における至適絞扼サイズの決定法~結紮用クリップを用いた両側肺動脈絞扼術の後方視的検討より~

阿知和 郁也1, 金子 幸裕1, 森下 寛之1, 八鍬 一貴1, 小野 博2, 金子 正英2, 三崎 泰志2, 林 泰佑2, 佐々木 瞳2, 真船 亮2, 越智 琢司2 (1.国立成育医療研究センター 心臓血管外科, 2.国立成育医療研究センター 循環器科)

Keywords:両側肺動脈絞扼術, 左心低形成症候群, 姑息術

【背景】両側肺動脈絞扼術(bil.PAB)では絞扼の程度を決定する基準が未だ存在せず、絞扼の微調整が難しい事から至適サイズにする事も通常困難である。我々は結紮用clipで肺血流を制限する方法(clip.PAB)を開発し、絞扼の微調整の簡便さ・絞扼の程度の再現性の高さ・再介入の容易さ等を報告してきた。【目的】clip.PAB後の経過から対象を肺血流増多群(H群)・至適肺血流群(N群)・肺血流減少群(L群)に分け、術後UCGでの絞扼部の流速(収縮期・拡張期・収縮期拡張期流速比)が絞扼サイズ決定の指標となり得るか検討する。【対象】2010年4月~2014年10月にclip.PABを施行した25例。手術時日齢:4.3±3.4(1-15)日、体重:2.6±0.5(1.6-3.7)kg。疾患:HLHS12、SV5、PA/IVS2、TA2、IAA2、DORV1、TAPVC1。【結果】POD7までのUCG計測値(H/N/L群):収縮期(m/s) 2.36±0.23/2.97±0.62/3.18±0.47、拡張期(m/s) 0.64±0.18/1.59±0.52/1.91±0.37、比 0. 27±0.06/0.54±0.11/0.60±0.07。2群間比較による両側検定P値(HN群間/LN群間):収縮期 3.1E-6/0.034、拡張期 1.2E-15/0.0023、比 4.5E-12/0.0024。2群間比較でのcutoff値(HN群間/LN群間): 収縮期(m/s) 2.81/3.37、拡張期(m/s) 1.05/1.85、比 0.40/0.55。【考察】2群間比較は全ての項目で有意差を示したが、P値より絞扼サイズの評価には拡張期流速・収縮期拡張期流速比が収縮期流速より有用である。収縮期流速のcutoff値は値域の幅より臨床的有用性に乏しい。術後UCG計測値をPOD7迄に限定した事で、今回の結果を術中UCGによる計測値に置換することも可能と思われる。【結論】絞扼サイズの評価には絞扼部の拡張期流速・比が重要であり、拡張期流速 1.05-1.85m/s、比 0.40-0.55が至適サイズの指標となり得る。術中UCGで絞扼部流速を測定する事で、術中に絞扼の程度を決定できる可能性が示唆された。今後至適絞扼サイズが術中測定により実際に決定できるか、前方視的検討を行いたい。