[I-YB02-05] 両心室修復を目指したハイリスク症例に対する両側肺動脈絞扼術の成績
Keywords:両側肺動脈絞扼術, 両心室修復術, 段階的修復術
【目的】当院では1996年11月より、両心室修復術(BVR)を目指したハイリスク症例に対する姑息術として、両側肺動脈絞扼術(bPAB)を施行している。本術式の成績に関して検討したので報告する。【対象】1996年11月から2014年12月までにbPABを施行した34例を対象とした。疾患は大動脈縮窄/離断(CoA/IAA)+総動脈幹症(TA)11例、大動脈弓と左室流出路狭窄を合併した心室中隔欠損でYasui手術の適応疾患8例、TA 6例(5例は中等度以上の総動脈幹弁閉鎖不全を合併)、CoA/IAA+心室中隔欠損4例、CoA+両大血管右室起始症3例、その他2例であった。術前危険因子は、体重2.5kg未満が8例、ショックが4例、在胎週数36週未満、肺出血、消化管出血、DIC、急性腎不全がそれぞれ1例ずつであった(重複あり)。手術時日齢は中央値13(4-122)日、体重は中央値2.6(1.5-4.4)kgであった。術中エコーでbPAB後の肺動脈流速は、右が中央値3.5 (2.7-3.8) m/s、左が中央値3.4 (2.5-4.0) m/sであった。同時手術は、動脈管ステント挿入が3例、TA例の大動脈弓再建が2例、Van Praagh手術が1例であった。観察期間は中央値3.7年(最長17年)であった。【結果】BVR到達前死亡が4例(心不全、呼吸不全、肝不全、感染)で、BVR到達例は30例(88.2%)であった。BVR前のエコーでLVEFは中央値70.0 (41.0-87.0)%であった。BVR前のカテーテル検査では中央値でQp/Qs=1.1(0.6-2.7)、下肢動脈血酸素飽和度80.4 (70.0-86.7)%であった。BVR時の月齢は中央値5.9(1.1-30.1)ヵ月、体重は中央値4.9 (2.5-9.0)kgであり、bPAB部位の肺動脈形成を施行したのは6例(20.0%)であった。BVR後在院死亡が1例(心不全)であったが、他は遠隔死亡なく経過している。bPAB後の生存率は、1年で87.8%、5年で84.3%であった。【結語】両心室修復を目指したハイリスク症例に対するbPABの手術成績は良好であり、bPABを先行させた段階的修復術は有用であると考えられた。