[I-YB04-01] 学校心臓検診でのQT短縮症候群スクリーニングに関する検討
Keywords:QT短縮, 学校心臓検診, スクリーニング基準
【背景】三大陸不整脈学会 (HRS/EHRS/APHRS) は2013年に指針Expert consensus statement を発表し、種々の遺伝性不整脈の診断基準を提唱している。その中で、QT短縮症候群 (SQTS) の診断基準としてBazett補正でのQTc≦330 ms を用いている。学校心臓検診でスクリーニングする場合、この基準が適応可能か検討した。【対象と方法】対象は小学1年、中学1年、高校1年生のそれぞれ4,655名 (男児2,368名、女児2287名)、4655名 (男子2368名、女子2,287名)、5273名 (男子2598名、女子2675名)。学校心臓検診での心電図を用い、連続3心拍のQT/RR間隔を接線法でマニュアル測定し、それぞれBazett補正でのQTc値を求めた。3心拍でのQTc値の平均値を算出した。【結果】Bazett補正でのQTc≦330 msを示したのは、小学1年男児13名 (最少QTc値; 308 ms)、女児5名 (最少QTc値; 318 ms)、中学1年男児6名 (最少QTc値; 319 ms)、女児2名 (最少QTc値; 324 ms)、高校1年男児119名 (最少QTc値; 295ms)、女児18名 (最少QTc値; 307 ms)であった。各群ともQT短縮を満たす群は満たさない群より有意に心拍数が低く、高校生男子ではQT短縮群 51±7 bpm、以外群 66±13 bpm (p<0.0001)であった。高校生男子で最低QTc値を示した例の心拍数は41 bpmであった。【考察】Bazett補正を行うと、高心拍数帯では過剰に補正し、低心拍数帯では過小に補正することが知られている。三大陸不整脈学会の指針でも、頻脈時や徐脈時でのQTc値は用いないよう求めている。【結論】実際の小児期SQTS症例の症例集積と頻度の推定が必要であり、症例と健常児のQTc値の分布から抽出基準の決定が必要である。