[I-YB04-02] ブルガダ症候群4家系の経過観察
Keywords:Brugada syndrome, fever, psychotropic
【はじめに】小児科期に診断したブルガダ症候群4家系7名の経過観察から、致死的不整脈のリスク因子について考察した。【症例】男子4名、女子3名、ブルガダ症候群診断時年齢3-17歳、現在8-24歳、フォロー期間6-11年。診断は12誘導心電図でType1波形を疑い、ピルジカイニド負荷Type1陽性で診断した。【臨床像】発端者発見動機はVT1例、VSD術後経過観察2例、学校心臓検診1例、他の3例が家族スクリーニング。SCN5A陽性例は6例3家系、R535X(nonsense)、G1743R(missense)、T290fsX53(frameshift)。発端者の診断から2家系の父親を新たに診断、計3家系で父親に同疾患を認めた。家族内に若年突然死2家系。安静時通常誘導Type1が2例、Type2が1例、計3例(43%)。高位右胸部誘導Type1が5例(71%)。発熱時Type1が4例(57%)。心室遅延電位陽性4例(57%)。VT合併3例(43%)、SSS・AFL合併1例(14%)。【治療と予後】致死的不整脈は、初診時発熱に伴うVT1例、VSD術後経過観察中にブルガダ波形出現し発熱に伴いVT1例、ADHD治療薬メチルフェニデートによるVT1例、抗うつ薬によりSSS発症1例。発熱に伴うVT2例はelectrical stormでDCを頻回に要し、鎮静と低体温(常温)に加えてイソプロテレノール・キニジンにて管理できた。メチルフェニデートによるVTは中止してキニジンを開始して改善した。他の3例は無症状で経過している。父親3名はICD装着(誤作動あり)。父親を含めた10例で死亡例はない。【考察】小児ブルガダ症候群のリスク因子として発熱と向精神薬があり、プライマリケア医・小児救急医・小児精神科医との連携が必要である。発熱に伴うVT2例に対して、発熱時の積極的解熱と慎重な経過観察、および保護者と話し合いキニジン内服と家庭内AED設置で対応しているが、今後ICDの適応が議論になる。