第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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要望演題

1-16 肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

要望演題5
肺高血圧

Thu. Jul 16, 2015 2:50 PM - 3:40 PM 第5会場 (1F アポロン A)

座長:
山田 修 (国立循環器病研究センター)
福島 裕之 (慶応義塾大学病院)

I-YB5-01~I-YB5-05

[I-YB05-04] 肺動脈性肺高血圧症において血小板凝集能は喀血を予見できるか?

中山 智孝, 直井 和之, 池原 聡, 高月 晋一, 松裏 裕行, 佐地 勉 (東邦大学医療センター大森病院 小児科)

Keywords:肺高血圧症, 血小板凝集能, 喀血

【背景】肺動脈性肺高血圧症(PAH)の代表的な治療薬であるプロスタサイクリン(PGI2)製剤は肺血管拡張作用のみならず強力な血小板凝集抑制作用を有する。臨床経過中に喀血をきたす症例を経験するが、血小板凝集能の影響に関する報告は少ない。【目的】PAH診療において血小板凝集能に影響を及ぼす因子を検討する。【対象・方法】当院で定期観察し心臓カテーテル検査時に血小板凝集能を評価したPAH23例。特発性14/遺伝性7/先天性心疾患合併2例。ワルファリンは原則的に検査3日前から服用を中止とした。ADP添加により0.5~2μmol/lの濃度内で解離を伴わない明らかな二次凝集を認める場合を凝集正常、0.5μmol/l以下で二次凝集がみられる場合を凝集亢進、最大凝集率50%以下を凝集低下と判定した。二次凝集が得られる最低凝集惹起濃度(platelet aggregatory threshold index: PATI)と患者背景(年齢、観察期間、治療薬、喀血の有無、BNP、肺血管抵抗(Rp))の関係を検討した。【結果】検査時年齢は中央値18.2歳(5.6~60.3)、観察期間は7.4年(2.6~15.2)、PGI2製剤の内訳はエポプロステノール(Epo)17例(投与量1~65ng/kg/min)・ベラプロスト3例・イロプロスト吸入1例・なし2例で、1例を除く全例が多剤併用療法。血小板数は20.3±5.1万/μlで10万/μl以下の血小板減少例なし。平均最大凝集率は73.9±15.7%、凝集正常/亢進/低下は18/2/3例、喀血の既往7例中、凝集低下は1例のみ。喀血の有無と最大凝集率やPATIに差がなかった。高用量Epo(≧50ng/kg/min)を投与した2例はいずれも喀血を認めたが、凝集正常1/低下1。血小板凝集能は年齢・観察期間・PAH治療薬・Epo投与量・疾患重症度(BNP、Rp)と明らかな相関が認められなかった。【結論】PAH症例においてEpoを含む多剤併用療法を行っても血小板凝集能は必ずしも低下しない。しかしEpoが高用量に達し凝集低下をみとめる症例では喀血に注意する必要がある。