[I-YB06-04] 体重1 kg未満の超低出生体重児に対する内視鏡下動脈管閉鎖術
キーワード:動脈管開存症, 超低出生体重児, 内視鏡手術
【目的】2014年4月より動脈管開存症に対する内視鏡下動脈管閉鎖術(VATS-PDA)は保険収載されたが、われわれの施設では先進医療としてVATS-PDAを150例以上に施行してきた。一方、超低出生体重児の動脈管閉鎖術の手術成績は術前状態が極めて不良のため必ずしも良好ではない。2005年より超低出生体重児に対してもVATS-PDAを積極的に施行してきた。今回、その手術成績を報告する。【方法】2014年12月までに、体重1 kg未満の超低出生体重児に対して施行したVATS-PDA:50例を対象とした。在胎週数は平均25週6日、出生時体重は平均742g(454-1024g)、全例、インドメタシン投与無効例で、平均4.1回投与していた。手術年齢は平均25日(12 -58日)、手術時体重は平均750 g(420-990 g)であった。46例(92.0%)が術前人工呼吸管理下であった。手術は2.7mm、30°のスコープを使用、2(4mm、8mm)もしくは3(4mm、4mm、8mm)ポートで、完全内視鏡下に行った。【成績】開胸に移行した症例は1例(2.0%)で、内視鏡補助下小開胸(2.0 cm)手術に移行した症例が2例(4.0%)あった。動脈管径は平均3.1mm、手術時間は平均31分(17-65分)であった。使用したクリップは平均1.1個(1-2個)であった。手術死亡は2例(4.0%)で、最小体重420gの症例と550gの症例を術後肺出血と腎不全で失った。生存例では、全例動脈管は完全閉鎖され、1例に気胸のため胸腔ドレーンを要した以外、合併症は認めなかった。術後観察期間は平均60ヶ月で、動脈管遺残短絡や遠隔死亡は認めていない。【結論】VATS-PDAは重症例を含む1kg未満の超低出生体重児に対しても低侵襲でかつ安全確実に施行できる手術手技であることが示された。超低出生体重児の動脈管の治療成績向上に極めて有用であると思われる。