[I-YB06-05] 極低出生体重児におけるpost PDA ligation syndromeの臨床像
Keywords:動脈管開存, 周術期管理, 早産児
【背景】未熟児PDAの術後に左室機能低下をきたすことがある。急激な後負荷増大が原因と考えられており、血管拡張剤が治療に有効との報告がある。【目的】当院におけるpost PDA ligation syndrome(PPLS)の臨床像を明らかにすること。【方法】対象は2012年4月から2014年12月に当院で動脈管結紮術を施行された極低出生体重児28例のうち、周術期の心エコーによる心機能評価が不十分または記録が欠落していた5例を除外した23例。術後24時間以内のエコー検査で左室駆出率(LVEF)が一度でも50%未満に低下したものをPPLSと定義した。患者背景、臨床経過を後方視的に検討した。p値<0.05を有意差ありとした。【結果】PPLS群(P群)8例、正常群(N群)15例。P群 vs N群の比較を以下に示す。術前の左室拡張末期径は124±9% of normal vs 111±11% of normalでP群で有意に大きかった(p=0.02)。在胎週数26w3d(23w3d-29w1d)vs 26w0d(23w3d-29w5d)、出生体重676g (361-1162g) vs 760g (304-1090g)、手術時日齢23.5 (3-50) vs 24(2-43)、手術時修正週数30w3d(26w2d-33w6d) vs 29w3d(25w3d-34w1d)、手術時体重911g(361-1562g) vs 948g(340-1248g) 、術前PDA径1.5mm(1.1-3.0mm) vs 1.8mm(0.7-2.5mm)でいずれも有意差を認めなかった。P群では5/8例(63%)で血管拡張剤が投与されていた。P群において術後0~12時間のLVEF 45±10%、術後12~24時間のLVEF 51±12%であり、時間経過とともに改善する傾向がみられた。両群とも死亡例はなかった。【考察】術前の左室容量負荷が大きい症例はPPLSをきたしやすい可能性がある。PPLSは術後12時間までに悪化しその後改善する傾向がある。