第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

要望演題

1-13 術後遠隔期・合併症・発達

要望演題7
術後遠隔期・合併症・発達

2015年7月16日(木) 13:50 〜 14:40 第7会場 (1F シリウス A)

座長:
藤原 優子 (東京慈恵会医科大学)
我那覇 仁 (沖縄県立南部医療センター・こども医療センター)

I-YB7-01~I-YB7-05

[I-YB07-01] Fontan術後症例における肝硬度測定:Shear Wave Elastographyの有用性

森藤 祐次, 鎌田 政博, 中川 直美, 石口 由希子, 岡本 健吾 (広島市立広島市民病院 循環器小児科)

キーワード:Fontan術後, 肝硬度, Shear Wave Elastography

【背景】近年、手術成績向上によりFontan(F)手術後生存例は増加の一途をたどっている。しかし、術後遠隔期にF循環に起因する心外合併症を認めることは少なくなく、肝線維症、肝硬変、肝細胞癌など肝合併症の報告が増加している。肝疾患診断には血液・超音波検査などが用いられるが、近年、音響的加圧によりせん断波伝達速度(Vs)を定量化することで硬さの絶対値を求めるShear Wave Elastography(SWE:東芝)が開発され、内科領域では肝腫瘍、肝線維化診断を簡便に評価できる方法として注目されている。【目的】F術後の肝合併症評価におけるSWEの有用性について調査すること。【対象/方法】対象はF術後39例(男女比 20/19、検査時年齢 3.2~32.7歳:med.9.1歳)で、SWEによりVsを複数個所(≧3回)計測→平均値を算出し、1)心不全を有しない群(C群)との比較、F群におけるSWE所見と2)年齢、3)血液データ、4)肝エコーとの関連について調査し、統計学的解析を行った。【結果】1)F群におけるVsはC群に比べ有意に高値(1,82 vs 2.56,p<0.01)。2)F群において、Vsは年齢と有意な正の相関(p<0.05)あり。3)血液検査では、AST,ALT,TTT,ZTTなどと相関はないが、T-Bil,γGTPのみならずヒアルロン酸との間には有意な相関あり(p<0.01)。4)肝臓エコーを施行した18例において、肝実質粗大の程度(正常、軽度、中等度、高度)とSWE値を比較検討したが、症例も少なく有意差は認めず。ただし、F群:肝実質正常例においても、SWE値はC群より有意に高い値を呈した(p<0.01)。【考察/結論】SWE、血液検査、肝エコーの結果から、Fontan術後症例における肝硬度上昇は、うっ血肝と肝線維化の複合と考えられた。今回、症例数も少なくF群の中で肝実質変化とSWEの間に有意な相関は認めなかったが、F群Vsは年齢と共に上昇しており、ヒアルロン酸とも有意な相関を認めた。F群肝線維化の定量的評価に有用な可能性があり、今後更に症例を累積検討したい。