第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

要望演題

1-13 術後遠隔期・合併症・発達

要望演題7
術後遠隔期・合併症・発達

2015年7月16日(木) 13:50 〜 14:40 第7会場 (1F シリウス A)

座長:
藤原 優子 (東京慈恵会医科大学)
我那覇 仁 (沖縄県立南部医療センター・こども医療センター)

I-YB7-01~I-YB7-05

[I-YB07-03] Fontan術後遠隔期予後改善に向けた簡便な在宅和温療法━急性効果と安全性検証

増谷 聡, 金 晶恵, 桑田 聖子, 栗嶋 クララ, 岩本 洋一, 石戸 博隆, 先崎 秀明 (埼玉医科大学総合医療センター 小児循環器科)

キーワード:Fontan, 和温, サウナ

【背景】Fontan循環が長期に及ぶ結果、全身の機能障害が心不全の進行とともに、あるいは独立して発生する。これらの合併症は、Fontan術後患者の生活の質や予後を大きく規定する。その予防、治療法の解明は喫緊の課題である。低温サウナを用いた和温療法は、上記心不全進展に関わる各異常経路を抑制し、心不全改善につながり得る。しかし成人同様の和温療法は、小児、特に学童期では通院の負担が大きく、非現実的である。【目的】持ち運びが容易で在宅で施行な遠赤外線ドーム型サウナを使用し、Fontan術後患者における在宅和温療法に向けて、急性効果と安全性を検証する。【方法】説明と同意を得て、希望者に和温療法を施行した(N=9)。各人の初回は、外来で医師が立会い、バイタルサインの確認のもとに施行した。40度、20分間の低温サウナ浴の後、20分の安静を設けた。サウナ浴のあとは適宜水分補給を行った。施行前・中・後の循環動態を観察評価した。【結果】サウナ温度は平均38℃、施行前後で体温は36.3から36.8℃(P<0.005)へ上昇した。体重は有意に変化せず。サウナ中の最大効果として、心拍数74から72、収縮期血圧99から91mmHg、平均血圧66から59mmHgへ有意に減少した(P<0.05)。心拍出量は3.1から3.6L/min/m2へ増加、体血管抵抗は21から17 units×m2へ減少、肺動脈圧と相関する末梢静脈圧は10.6から9.6mmHgへ有意に減少した。心室弛緩(e’)、収縮性(IVA)も改善した。悪心等の不調を来した症例はいなかった。【考察】60℃が推奨される成人と異なり、小児ではさらに低温で快適さを確保して患児の協力が得られた。そのもとで、心機能改善と心拍出量の増加にも関わらず血管床が広がり、肺動脈圧・血圧の適度な低下が急性効果として観察された。安全な施行も確認できた。 【結論】本法による和温療法の安全性が確認され、在宅で使用を継続し、血行動態や酸化ストレス、血管機能の慢性効果を検討予定である。