第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

Presentation information

要望演題

1-10 心筋心膜疾患

要望演題8
心筋炎

Thu. Jul 16, 2015 9:00 AM - 9:50 AM 第8会場 (1F シリウス B)

座長:
磯松 幸尚 (横浜市立大学)
森 一博 (徳島県立中央病院)

I-YB8-01~I-YB8-05

[I-YB08-01] 心臓MRIによる急性心筋炎後遠隔期の遅延造影の意義

藤野 光洋1, 川崎 有希1, 中村 香絵1, 佐々木 赳1, 江原 英治1, 村上 洋介1, 吉田 修一朗2, 吉田 葉子2, 鈴木 嗣敏2 (1.大阪市立総合医療センター 小児循環器内科, 2.大阪市立総合医療センター 小児不整脈科)

Keywords:急性心筋炎, CMRI, 遅延造影

【緒言】心臓MRI(CMRI)で、心筋炎の遠隔期にみられる遅延造影(LGE)は心筋線維化を示す所見とされ、成人領域ではLGEと長期予後との関連が報告され始めている.【目的】中長期経過した小児急性心筋炎におけるLGEの臨床的意義を検討する事.【対象と方法】対象は1999年6月から2013年7月に急性左心不全を呈し当院で急性心筋炎と診断され集中治療をうけた6例(女2).発症年齢は中央値(最大値-最小値)で1歳(10か月-13歳). 経過観察期間 は86(19-129)か月であった. 発症時LVEF 23.1(10-37)%で、5例はECMOが施行されていた.発症後、65(3-133)か月時にPhillips社製Intera Achieva 1.5Tを用いて施行したCMRI所見と臨床経過を後方視的に検討した.【結果】LGE陽性は6例中4例で、ECMO施行例は3例だった. 心筋炎発症後86(33-115)か月で、LVEF 55.4(51.0-68.2)%、4例とも心不全治療を継続されていた.うち2例で心機能が正常化し治療を中止した後に、再度心機能が悪化し、再治療されていた. 1例はACE阻害薬とβ遮断薬等によりLVEF 65%まで改善したが、その後、外来自己中断した結果、発症3年後にLVEF 48%まで悪化し心不全治療が再開されていた.もう1例は、心電図異常(CRBBB)とPVC残存例で、LVEFは一旦正常化したが、発症後9年経過時点で心機能再悪化したためACE阻害薬とβ遮断薬が開始されていた. 一方、LGE陰性の2例では、1例で心電図異常(CRBBB)が残存するものの2例とも心機能正常で急性期以降無治療で経過していた. 【結論】LGE陽性例では、長期に心不全治療を要していたり、治療中止後に心機能の再悪化がみられた. 成人領域では、LGEを遠隔期死亡率の予測因子とする報告もあり、小児心筋炎後においてもLGEの有無を確認する有用性が示唆された.