[I-YB08-03] 小児劇症型心筋炎に対するECMO使用下における左室収縮能の経時的変化とその予後
キーワード:fulminant myocarditis, ECMO, Ejection Fraction
【はじめに】劇症型心筋炎に対するExtracorporeal membrane oxygenation (ECMO)は左室機能の回復までの循環維持のため近年積極的に導入されている。【目的】ECMO導入後の左室収縮能の回復の経時的変化を観察すること【対象と方法】2008年12月から2014年12月まで、国立成育医療研究センターで臨床的に劇症型心筋炎と診断し、ECMOを導入した15例のうち、離脱できた13例を対象とした。Left ventricular assist device(LVAD)や心臓移植に移行した症例は存在しなかった。電子カルテを用い、後方視的に検討した。【結果】心筋生検は7例に施行し5例で急性心筋炎に矛盾しない所見が得られ、PCRも含めた諸検査で、ウイルス感染は6例で証明された。年齢は中央値5歳(4日から11歳)、ECMO使用期間の中央値8日(5-14日)、ECMO導入理由は左室機能不全または左室機能不全と致死性不整の合併が10例(group A: 77%)、致死性不整脈のみが3例(group B: 23%)であった。ECMO導入時のLeft ventricular Ejection Fraction (LVEF) は全体で32 ± 15% (Group A vs B: 28 ± 13 vs 47 ± 8 %)であった。ECMO開始後LVEFは21 ±15% (18 ± 12% : 32 ± 16 %)と著明に低下し、回復はECMO開始から4.5 ± 1.7日, (range, 1-7日, 4.8 ± 1.4 vs 3.3 ±1.5日)から認められ、離脱時EFは42 ± 13 %、60%以上に回復したのは14 ± 9日 (15.9 ± 8.6 vs 9 ± 2.9日)であった。ECMO使用日数は8.2 ± 2.3日 (8.7 ± 2.2 vs 6.3 ± 0.9日)であった。すべてにA群が悪い傾向にあったが、症例数不足のため統計学的有意差は認めなかった。【考察】ECMO使用例に限った今回の検討では、高度中枢神経障害による死亡例以外の13/15例 (87%)で左室収縮能が回復した。全例7日以内に回復を開始しており、その時期に回復が認められない症例は、LVADや心臓移植を考慮しながらの管理が必要な可能性がある。