第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演

2-03 外科治療遠隔成績

一般口演-14
房室弁の外科治療

Fri. Jul 17, 2015 3:10 PM - 4:00 PM 第4会場 (1F ジュピター)

座長:
小澤 司 (東邦大学医療センター大森病院)
芳村 直樹 (富山大学)

II-O-01~II-O-05

[II-O-01] 完全房室中隔欠損症術後の左側房室弁におけるcoaptation geometryの検討

木南 寛造, 森田 紀代造, 篠原 玄, 黄 義浩 (東京慈恵会医科大学 心臓外科)

Keywords:房室中隔欠損症, 心エコー, 解析

[背景]成人僧帽弁形成に関しては術式と術後僧帽弁形態に関する検討がなされているが房室中隔欠損症(AVSD)における術後房室弁の形態と機能の検討は少ない.[目的]心エコー画像を後向きに解析しAVSD術後の左側房室弁形態・機能の評価を行う.[対象・方法]対象は完全型AVSD根治術後14例(7.4±6.0歳),対照群として川崎病17例(5.6±5.7歳).2Dエコー左側房室弁接合形態に関する以下のパラメーターをAVSD群,対照群の二群間で比較し,房室弁機能(Vmax,PHT,MR grade)と対比検討した. 前尖(A角)/後尖(P角): leaflet coaptation angle, tenting height(h), 前尖後尖長比,septal displacement depth (ΔD):心尖部四腔像における左側房室弁中隔側付着部の偏位度[結果・考察] 前尖・後尖間のcoaptation様式.A角:AVSD群 vs 対照群27±6°vs 22±4°, (P<0.05), P角:同群間 30±7°vs 44±7°(P<0.05)とAVSDでは対照群に比して有意にA角は大きく,P角は小さかった.また前尖後尖長比:同群間 1.2±0.6 vs 2.2±0.6 (P<0.05)とAVSDで有意に小さかった.このことから対照群においてP角はA角の2倍の深さで留まり前尖が後尖の2倍の長さまで運動を行い接合するのに対し,AVSD群では接合位置は前後径のほぼ中央にあり,相対的にleft mural leafletの関与が大きいことが示唆された.これらの各パラメーターと左側房室弁機能とは関連を認めなかった. 一方,左側房室弁中隔側付着部の偏位度を示すΔDではAVSD群 1.03±0.76 に対しcontrol群 -0.98±0.40とAVSD群で種々の程度に左側房室弁付着部の下方偏位を呈したが,coaptation pointの指標となるhは5.5±1.5 vs 5.2±0.8 (P=0.54)と二群間で有意差を認めず,AVSD術後では形態は異なるが弁接合機能は保たれ左側房室弁逆流は制御されていると推察された. [結論]coaptation geometryの各パラメーターはAVSD房室弁接合様式や機能を検討する上で有用であり,その特徴を定量化できる可能性が示唆された.