[II-O-05] 大血管異常を伴う房室中隔欠損症に対する二心室修復術および単心室手術術後における弁機能の中遠隔期成績
キーワード:房室中隔欠損症, 大血管異常, 弁機能
[背景]両大血管右室起始(DORV)、ファロー四徴症(T/F)などの大血管異常を伴う房室中隔欠損症AVSD)に対する二心室修復術では術後の良好な血行動態が期待されるが、手術操作は複雑であり分割した房室弁機能も懸念される。一方単心室手術では心室容量負荷の軽減に伴い房室弁逆流が改善する症例もあるが、体循環における共通房室弁機能の遠隔成績、手術成績には不明な点がある。大血管異常を伴うAVSDに対する二心室修復術と単心室手術の術後中遠隔期の房室弁機能を検討した。[方法]1991年5月~2012年8月に当院で行われた大血管異常を伴うAVSDに対する二心室修復術(B群)13例および単心室手術(Glenn手術またはFontan型手術)(U群)23例を対象とした。手術時平均年齢1.6±2.0歳、体重3.3±4.4kgで、追跡期間は4.7±5.5年であった。合併する大血管異常はB群でDORV5例、T/F8例、U群ではDORV19例、大血管転位4例であった。直近の心臓超音波検査での房室弁機能および弁関連再手術を比較した。[結果]U群では最終手術を含め9例に延べ12回の弁形成手術が行われていた。最終手術直前に房室弁に中等度以上の逆流(有意な逆流)を認めた症例はB群5例38.5%:U群7例35.0%であった。術後中遠隔期(4.6±5.7年)で体循環房室弁に有意な逆流を認めた症例は、B群2例16.7%:U群6例30.0%であった。房室弁狭窄を認めた症例はなかった。体循環房室弁関連再手術回避率は3年でB群92.3%:U群73.2%で、有意差は認めなかった。B群の肺循環房室弁に有意な逆流を認めた症例は4例33.3%で、肺動脈弁逆流に関連して1例再手術があった。[結語]術後中遠隔期の体循環房室弁機能は、二心室修復後より単心室手術後の方が有意な逆流症例が多かったが、弁関連再手術回避率に有意差を認めなかった。二心室修復後の肺循環房室弁は低圧系となるため有利である、肺動脈弁逆流合併例では注意が必要と思われた。