[II-O-07] Fontan循環における微細冠動脈瘻
キーワード:冠動脈, Fontan, 虚血
【背景】先天性心疾患患者において微細冠動脈瘻がみられることがあるが、その成因、頻度、予後に関しては不明な点が多い。【目的】Fontan術後患者における微細冠動脈瘻の頻度を明らかにすること。【方法・対象】2003年~2014年12月に当院でカテーテル検査を行ったFontan術後患者で冠動脈瘻の有無を後方視的に検討した。大動脈造影または冠動脈造影で冠動脈形態が確認可能であった患者を対象とした。大動脈造影のみの場合は冠動脈形態が確認できない症例、Sellars 分類2度以上の大動脈弁逆流を有する症例は除外した。該当患者を対象に診断時の年齢、Fontan術後経過年数を検討した。【結果】調査期間中にカテーテル検査を施行したFontan術後患者は256名(年齢1-55歳;中央値13歳、男性126名、女性130名、延べ494件)であった。 対象となった223名(年齢1-47歳;中央値13歳、男性111名、女性112名延べ349件)で冠動脈形態を確認し、このうち32名(14.3%、男性15名、女性22名)で微細冠動脈瘻をみとめた。 微細冠動脈瘻診断時の年齢は17.6±11.0歳(3-45歳)でFontan後経過年数は10.5±7.2年(0-24歳)であった。多脾症候群が8名、無脾症候群が2名であった。 複数回のカテーテル検査を施行されている患者において微細冠動脈瘻は不変ないし増悪をみとめ、自然寛解が得られている症例はいなかった。【結論】Fontan術後患者における微細冠動脈瘻はまれな合併症ではない。Fontan循環においては用微細冠動脈瘻の存在は容量負荷、心筋虚血による心機能悪化を来す可能性がある。しかし、現状では微細冠動脈瘻の形成機序や心機能に与える影響および予後に関しては不明であるため慎重な経過観察を要する。