[II-O-12] 当科における先天性QT延長症候群の管理についての検討
Keywords:QT延長症候群, 薬物負荷試験, 遺伝子異常
【背景】先天性QT延長症候群(LQTS)は小児~若年成人において失神や突然死などを起こす疾患であるが、無症候例を含めると潜在的有病率も高い。診断・管理においてはガイドラインに記載はあるものの明確に定められたものはなく、各施設並びに担当医の判断で管理せざるを得ないのが現状である。【目的・方法】当科においてLQTSと診断された症例について、その診断および管理方法、予後を調査・検討し、今後の方針への一助とする。【対象】当科において過去6年間(2009年2月~2015年2月)にLQTSと診断された17症例。【結果】17症例のうち、男性/女性=10/7、初診時の年齢構成は10歳未満3例、10~19歳11例、20歳以上3例であった。失神既往は3例で、ふらつき等の前失神状態の既往が1例、突然死家族例のある症例は1例のみであった。遺伝子検索を行った発端者11症例のうち8例で遺伝子異常を認め、LQT1:7例、LQT2;1例であり、これらのうち7家系に遺伝子変異を認めた。薬物負荷試験は4症例で施行されており2症例で陽性であった。うち1症例ではカテコラミン負荷後TdPが出現したが、β遮断薬投与下ではTdPが抑制された。生活指導は、D禁相当8症例(479±43msec)、E可相当9症例(458±35msec)であり、ほとんどの症例で水泳禁止とされていた。薬物治療はβ-blockerが5症例で導入されていた。ICD植え込み症例はLQT2の1例のみであり、これを含め管理開始後の内服による副作用や大きなイベントはなかった。【考察】薬物負荷試験等にはリスクも伴うため適応は充分に検討する必要があるが、運動制限や投薬効果判定に有効な場合があると考えられた。【結語】LQTSはその遺伝子型, 性別, QTc, 症状, 突然死の家族歴を考慮した管理が必要である。しかし各施設における症例数は少なく、今後、多施設における症例の蓄積・検討が必要であると考えらえた。