[II-O-16] 運動時における失神症例からのカテコラミン誘発性多形性心室頻拍症例の抽出
Keywords:カテコラミン誘発性多形性心室頻拍, QT延長症候群, 失神
【背景】カテコラミン誘発性多形性心室頻拍(CPVT)は小児期の運動および興奮時における失神、突然死の原因のひとつであり、非常に予後不良な疾患であるが、比較的予後良好なQT延長症候群(LQTS)と診断されていることも少なくない。【目的】運動および興奮時に失神を来した症例について、CPVTとLQTSの鑑別方法を検討する。【方法】運動および興奮時に失神を来し、運動負荷試験を施行した51例を対象として、臨床所見、カテコラミン負荷試験、遺伝子検査について検討した。【結果】発症年齢は9.6±3.6歳。遺伝子検査施行後の最終診断は、CPVT 26例(51%)、Andersen-Tawil syndrome(ATS)1例(2%)、LQTS 23例(45%)[KCNQ1に変異あり 17例(全体の33%、LQTSの74%)]、原因不明1例であった。CPVT例のうち、遺伝子検査前にLQTSと診断されていた症例は3例で、そのうち1例は心肺停止(CPA)後一過性にQT時間が延長しており、もう2例は運動負荷試験で心室性不整脈の誘発のなかった症例であった。また二方向性心室頻拍(bVT)が記録された12例はすべてCPVT例であり特異的な所見と考えられたが、bVT記録のされない症例からCPVTを抽出する目的で、新しいスコア(安静時QT時間および心電図所見、運動負荷時QT時間、LQTSの家族歴、徐脈、CPA、先天性難聴の有無)を考案した。このスコアにより、CPVT(およびATS)の抽出が感度100%、特異度87.5%で可能であった。【結論】小児期の運動および興奮時における失神の原因として、CPVTとLQTSの頻度が高く、予後不良なCPVT症例がLQTSと誤診されていることがある。今回のスコアリングでCPVTの正確な診断を行うことで、効率的に患児本人の治療や家族の予防的治療の計画が可能になると考えられた。