[II-O-18] カテコラミン感受性多形性心室頻拍CPVTに対する当院での治療経験
Keywords:CPVT, リアノジン受容体, フレカナイド
【背景・目的】CPVTは交感神経の緊張により多形性心室頻拍(PVT)や心室細動(Vf)を生じる。CPVTに対し直接リアノジン受容体(RyR2)に作用するflecainide:FLが有効と報告されている。当院でのFLを中心とした薬物治療経験を報告する。【対象】5例のCPVT患者(受診時年齢/性 1:14歳/男、2:15才/男、3:9才/女、4:14才/男、5:12才/女)である。初発時症状/年齢は1:Vf/14才、2:失神/3才、3:失神/1才、4:失神/12才、5:失神/9才で、全例RyR2遺伝子変異を認めた。3はcopy number variationによる変異であった。家族歴は、3の母親に同遺伝子変異があり、4・5は兄妹例で父に体細胞性モザイクを認めた。【治療経過】1:プールで心肺停止となり除細動施行された。トレッドミル運動負荷(TM:Bruce)でVPC(単形性、二段脈)のみで、特発性VfとしてVPCを標的にアブレーションを施行した。その後carvedilol:CAを開始した。CA20mgのみでは二段脈(TM:Stage4/9分45秒)が抑制できず、FL100mgを加えてVPC(TM:Stage5/12分30秒)が消失した。2:トイレで心停止となり除細動施行。TM:Stage2/4分でPVTを認め、CA30mg+FL200mgでVPC多形、2連発(TM:Stage3/7分30秒)までに抑制でき症状なし。3:完全房室ブロック、失神のため紹介。TM:Stage3/8分5秒でPVTを認めた。左室緻密化障害あり。ペースメーカーを埋め込み後にCA20mg開始、FL200mgを加えVPC多形・2連発残存(TM:Stage3/6分30秒)するが症状なし。4:失神を繰り返しTM:Stage4/7分30秒でPVTみられFL100mgを開始。PVT抑制(TM:Stage5/14分)されるが、運動制限が守れず失神あり、CA2.5mg+FL150mg内服に増量中。5:失神あり、TM:Stage3/7分30秒でPVTみられFL100mgを開始。TM:Stage4/12分でPVC単形・2連発に抑制され、CA2.5mg+FL150mg内服に増量中。全例ICDなし。【まとめ】FLと、筋小胞体からのCa2+放出を調節するβブロッカーであるCAを組み合わせることによりCPVTに有効である可能性がある。