第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

Presentation information

一般口演

1-16 肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

一般口演-18
肺高血圧・一般

Fri. Jul 17, 2015 4:10 PM - 5:00 PM 第5会場 (1F アポロン A)

座長:
土井 庄三郎 (東京医科歯科大学大学院)
松永 保 (戸田中央総合病院)

II-O-21~II-O-25

[II-O-25] 当院で経験した呼吸器疾患を合併した新生時期発症の先天性心疾患の検討

金子 幸栄1, 村上 知隆1, 井上 奈緒1, 中嶌 八隅1, 森 善樹1, 神崎 智仁2, 渡邊 一正2, 小出 昌秋2 (1.聖隷浜松病院 小児循環器科, 2.聖隷浜松病院 心臓血管外科)

Keywords:呼吸器疾患, 先天性心疾患, 入院期間

【背景】呼吸器疾患を合併した先天性心疾患(CHD)では手術の時期や術前後の管理に難渋する事がある。【目的】器質的呼吸器疾患を合併し新生時期から加療を要したCHDの現状を把握すること。【方法】対象は2010年から2014年に当院NICUに入院し、入院中に外科治療の対象となったCHD。13, 18 trisomy、動脈管開存は除いた。診療録から後方視的に検討した。呼吸器疾患を合併したR群、合併のないC群に分け、出生体重、在胎週数、初回手術時の日齢・体重、術後抜管病日、入院期間の平均値を比較した。【結果】対象は60例で、R群は9例(15%)を占めた。呼吸器疾患の内訳は喉頭軟化症3, 肺低形成3, 気管狭窄1, 気管軟化症1, 右気管支軟化+右気管支狭窄1で、約半数(4/9例)が21 trisomy, ピエールロバン症候群, CHARGE連合, VATER連合を伴っていた。CHDの内訳はPAIVS4, TOF2, 単心室1, DORV1, VSD1で、6例(67%)がFontan candidateであった。C群は51例でCHDの内訳は単心室14, TOF 10, CoA/IAA5, PAIVS4, TGA4, AVSD4, VSD4, TAPVR3, TOF+AVSD2, その他1で、Fontan candidateは18例(35%)であった。在胎週数はC群 vs. R群 38週6日 vs. 38週1日と差はなく出生体重は2820±632g vs. 2246±849gでR群で小さかった(p<0.05)。初回手術時日齢は37±40日 vs. 99±79日(p<0.05)、術後抜管病日は17±34日 vs. 54±54日(p<0.05)でR群で初回手術までの日齢が高く抜管までの日数も長かった。術前後あわせR群の5例に気管切開を要した。入院期間は103±104日 vs. 448±346日(p<0.05)とR群で長かった。経過観察期間での術後死亡(心疾患関連なしも含む)はR群1例(11%,遠隔死),C群5例(9.8%)と死亡率に差はなかった。【結語】NICU入院管理を必要とし外科治療対象となるCHDでは呼吸器疾患を合併した複雑心奇形の頻度は少なくない。長期入院、ICU管理を要するが呼吸器疾患の管理を積極的におこなうことで、通常のCHD同等の予後が見込める可能性がある。