[II-P-002] 右房内異常隔壁と心雑音で発見されたValsalva洞右房瘻の乳児例
キーワード：sinus of Valsalva, right atrium, fistula
【背景】Valsalva洞右房瘻は稀な心疾患である。今回我々は心臓超音波検査と心雑音を契機に発見されたValsalva洞右房瘻の乳児例を経験したので報告する。【症例】10ヶ月男児。1ヶ月健診で心雑音を指摘され、心臓超音波検査で、右房内の異常隔壁と静脈洞型の心房中隔欠損症を認めた。前医で隔壁内に連続する血管様構造は認めるも、立体構造の把握が困難であり、7ヶ月の時点で精査目的に当院へ紹介された。発育発達歴に異常はなく、胸骨右縁第3肋間でLevineII/VIの連続性雑音を聴取した。心臓カテーテル検査で、肺静脈の還流異常は認めず、大動脈造影を行い冠動脈とは別にValsalva洞から右房へ造影される血流を認め確定診断に至った。Qp/Qsは1.4で肺高血圧症は認めなかった。【考察】Valsalva洞右房瘻は無症状から症候性まで認めることがあるが、本症例も心雑音以外は無症状であった。肺静脈還流が正常であった際には異常に気が付かなかったが、大動脈造影時に異常に気が付き確定診断に至ることができた。連続性雑音であり、大動脈から静脈系のシャントを念頭に置いて検査を進めていくべきであったと思われる。【結語】心臓超音波検査で右房内に異常構造を認めた場合、肺静脈還流が正常であれば、Valsalva洞右房瘻の可能性も念頭に置くことが重要と思われる。今後、造影CT検査などの精査を進め治療方針を決定していく予定である。