[II-P-004] 新生児期手術後に経口哺乳を確立できなかった先天性心疾患の検討
キーワード:新生児期手術後, 経口哺乳, 栄養
【背景】先天性心疾患において成長発達を見込める栄養方法を確立することは重要である.出来うる限り経腸管栄養が望ましいが,新生児期手術後の先天性心疾患では経口哺乳による栄養確立が困難な症例を経験することがある.【目的】新生児期手術を施行後に経口哺乳が確立できなかった先天性心疾患症例について,その概要と診療経過を調査検討すること.【方法】2012年1月から2014年7月までに当院の小児循環器集中治療室に入室し、新生児期に手術を施行した先天性心疾患は131例(女児58例)であった.このうち退院時に経口哺乳が確立せず,経管栄養または経静脈栄養が必要であった5症例(4%,全例女児)を対象とし,出生時プロフィールと診療経過を診療録より後方視的に調査検討した.【結果】出生時の在胎週数は中央値40(範囲39-41)週,体重は2534(2050-3120)g,アプガースコアは1分7(7-9)点,5分8(7-10)点であった.心疾患の内訳は左心低形成症候群2例,大動脈弓離断複合,総動脈幹,房室中隔欠損.全身症候群合併は4例(80%)で,内訳は22q11.2 deletion,Turner症候群,多発奇形,左側相同.手術内容は肺動脈絞扼術3例,Norwood手術,ペースメーカー植え込み術.全例で消化器関連合併症を認め,内訳は嚥下障害2例,胆道閉鎖,胃食道逆流,喉頭奇形.挿管期間は中央値24(4-220)日,入院期間は87(75-219)日.退院時体重は2360(2219-3070)gで,入院時体重との差は-50(-461-360)gであった.体重減少した3例のうち2例は,経静脈栄養で退院していた. 【結論】新生児期手術後に経口哺乳が確立できなかった先天性心疾患は,染色体異常などの全身症候群合併が多く,全例で消化器関連の合併症を呈していた.人工換気や入院期間が長期化し,体重増加は得られていない.このような例では新生児期早期よりの多面的集学的アプローチによる栄養計画が必要と考えられた.