第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

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3-01 その他

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一般心臓病学②

2015年7月17日(金) 13:50 〜 14:26 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:桑原 尚志 (岐阜県総合医療センター)

II-P-001~II-P-006

[II-P-005] 冠動脈の漏斗部中隔壁内走行を合併したファロー四徴症の一例

小林 匠, 石井 卓, 吉敷 香菜子, 稲毛 章郎, 中本 祐樹, 上田 知実, 嘉川 忠博, 朴 仁三 (榊原記念病院 小児循環器科)

キーワード:ファロー四徴症, 冠動脈奇形, 壁内走行

【背景】ファロー四徴症(TOF)に冠動脈奇形が合併することはよく知られており,多種多様である.今回,我々は左前下行枝-右冠動脈起始(LAD from RCA)を合併したTOFにおいて,冠動脈の漏斗部中隔の壁内走行合併に気が付かず,右室流出路(RVOT)狭窄解除時に冠動脈損傷を来した一例を経験した.【症例】0歳10か月の女児.0歳5か月よりRVOT狭窄に対してプロプラノロール内服を開始し,0歳9か月時に術前評価目的に心臓カテーテル検査を実施した.心エコーにて冠動脈奇形が疑われたため,心臓カテーテル検査において右冠動脈造影を施行し,LAD from RCAでLADがRVOT前面ではなく肺動脈背側と大動脈の間を走行することを確認した.手術は自己肺動脈弁温存にてTOF修復術を施行したが,手術直後に心室頻拍が出現し,血液検査と心電図より前側壁の心筋虚血が疑われた.心エコーにて左室前壁と心尖部の限局的な収縮低下を認め,一過性の心筋障害と考え,カルベジロール内服を開始した.しかし,改善がないため冠動脈CTを確認したところ,LADの血流途絶を認め,緊急心臓カテーテル検査にて冠動脈造影を施行した.右冠動脈造影にてLADが#6で途絶し,造影剤がRVOTに噴出しているのを確認した.また,心エコーにてLADが漏斗部中隔の壁内走行でRVOTに開口していたため,RVOT狭窄解除時に冠動脈損傷を来したと診断した.末梢側LADへはRCAからの側副血管により逆行性に血流が保たれており,冠動脈バイパス手術による更なる心機能低下の恐れも考えられたため,内科的加療を継続した.カルベジロールとエナラプリルを漸増し,状態は安定していたため退院とした.現在も心尖部の収縮低下を認めるものの,EFは術直後より改善している.【結語】冠動脈奇形を合併するTOFにおいて,冠動脈の漏斗部中隔の壁内走行を合併する症例報告は極めて少ない.本症例のように手術の際に冠動脈損傷を来たしかねないため,診断時には細心の注意が必要である.