[II-P-007] 心房中隔欠損の診断における学校心臓検診の役割
キーワード:学校検診, 心房中隔欠損, 肺高血圧
【背景】学校心臓検診は、心臓性突然死を来す疾患の早期発見が期待され国際的にも注目される日本に特有の診療システムである。心房中隔欠損(ASD)は学校検診で発見される主要な先天性心疾患であるが、小児期には通常無症状であるが、診断が遅れた場合、成人期に肺高血圧、不整脈、心不全などの合併症を来す事が知られる。しかし、本症の早期発見における学校心臓検診の役割は、国際的に明らかでない。【方法】1999年-2014年に地方国立大学病院(県唯一の外科治療、ASO認定施設、18歳以下人口30万人)にて、治療適応の検討を行った18歳以下のASD例を対象として、診断の契機、症状の有無、心電図所見、血行動態指標、治療内容について検討をおこなった。学校検診を契機に診断された患者(検診群)と一般臨床所見により診断された患者(非検診群)を比較検討した。【結果】同期間、91名にASDの診断で治療適応の検討を行った。(年齢:6歳(中央値)、4歳-9歳(四分位範囲);男/女:44/47;2次孔欠損:85例、静脈洞型:6例)。非検診群は69名(76%)で、その内54名(78%)では心雑音がみとめられた。検診群は22名(24%)で、18例(82%)で心電図上右脚ブロックが認められた。診断時年齢は、非検診群の方が低く(非検診群0.5 歳、0.1-1.25 歳vs 検診群6.0歳, 6.0-9.0歳, p<.01)、6歳以上の患児では、92%が検診群であった。両群で平均肺動脈圧には差はなく(18.0 mmHg, 15.0-22.5 vs 17.5, 15.8-19.3, p=.57)、肺体血流比 (2.1, 1.7-2.6 vs 2.2, 2.0-2.8, p=.15) も同等であった。手術又はカテーテル治療は同様に施行されていた。(97% vs 100, p=1.0).【結論】学校心臓検診は、心臓性突然死を来す疾患の早期発見に加えて、血行動態的に有意であるが、就学前に理学的所見等から指摘を受けなかったASDの早期診断に有用と考えた。