[II-P-009] 小児心臓カテーテル検査における下顎挙上デバイス(JED)の有効性に関する検討
Keywords:JED, カテーテル, 放射線被ばく
【背景】小児期の心臓カテーテル検査では、鎮静薬に伴う呼吸不安定が検査の安全性・正確性に悪影響を及ぼし、気道確保を行う医療従事者の放射線被ばくが問題となる。昨年の当学会で我々は下顎挙上デバイス(Jaw Elevation Device:JED)の使用経験を報告した。【目的】非挿管下で行う小児心臓カテーテル検査における、JEDの有効性を検討する。【対象】2013年11月から2015年1月までに当科でJEDを装着して心臓カテーテル検査を行った53例。年齢の中央値は3.7(0.5~20)歳、体重の中央値は11.8(7.0~48.5)kg、2心室循環46例、単心室循環7例(うちGlenn術後2例、Fontan術後4例)。カテーテル治療11例、検査のみ42例。【方法】JED装着時と非装着時の心内圧波形の測定および動脈・静脈血液ガスを測定し、pO2・pCO2・SO2の変動について体重・体表面積・鎮静薬投与量・検査時間との関連を検討した。また治療(I)群と検査(E)群で検査時間・鎮静薬投与量・血液ガス所見の変動を比較し、順行性肺循環と右心バイパス肺循環群で血液ガス所見の変動を比較した。更に模擬ファントムを用いて透視装置周囲の散乱線量を測定した。【結果】JED装着時は肺動脈圧・右房圧は安定していたが非装着時は呼吸性変動が大きくなった。JED非装着時の血液ガス所見でpO2・SO2は低下、pCO2は上昇の傾向を示し、静脈血pCO2は体重・体表面積・鎮静薬投与量との相関が示唆された。I群はE群と比較し有意に検査時間が長く鎮静薬投与量も多いが、血液ガス所見の変動は大きい傾向を示すものの統計学的有意差はなかった。また肺循環による血液ガス所見の差はなかった。なお患者頭部位置での散乱線量は45μSv/hrであった。【考察】JEDによる呼吸状態の安定により、長時間におよぶ検査・治療の安全性が確保でき、医療従事者の放射線被ばく軽減にもつながる。また右心バイパスの肺循環の評価には安定した圧波形が必要であり正確性の向上にも寄与すると考える。