[II-P-013] 胎児期にPVOが強く疑われ、出生後早期に修復術が可能であったTAPVC1bの一例
Keywords:総肺静脈還流異常症, 胎児心エコー検査, 肺静脈狭窄
【はじめに】胎児期に肺静脈の左房環流が同定できないことよりスクリーニングされたTAPVC(1b)で形態上および血流波形上PVOが強く示唆され、計画分娩後、当日に心内修復術を実施し救命できた症例を経験したので報告する。【胎児期経過】在胎30w2d、前医で肺静脈の左房環流が同定できないため当院胎児超音波外来受診。TCD:30mm、CTAR:25%、PA:Ao:SVCは7.2:4.4:4.9mmで大きな心内奇形はないものの、左右PVはLA後方で共通肺静脈腔を形成しその後SVC近位部に開口していた。開口部は1.5mmと狭小化しており、血流速度は1.5m/sの1峰性の連続波形で、高度の狭窄が疑われた。PVから共通肺静脈腔への狭窄はなく血流は2峰性であった。また、DAo-LA間距離は9.8mmであった。Arch血流は順行性、FOは3.8mmで正常なflap形成をしており右左短絡であった。生後早期の治療介入の可能性が高いことより、帝王切開での計画分娩とし、在胎37w2dに分娩となった。【出生後経過】出生体重は2823g、Apgarスコアは8/8点であった。生直後より啼泣有り筋緊張も良好であったが、高度のチアノーゼは持続し、SpO2は30%、口元酸素下で60%であった。心エコー所見は胎児診断と同様でTAPVC(1b)であり、共通肺静脈腔はLA後方に10×4mmあり、SVC接合部での狭窄を示唆する連続性のモザイク血流を認めた。手術を前提に気管挿管し人工呼吸管理とした。その後もSpO2は60%以上に上昇せず徐々に低下傾向となったため同日の手術を決定した。術後経過は良好で術後の吻合部狭窄なく経過し退院した。【考察】TAPVCの胎児診断では、その重症度の予測も可能である。生後早期の外科治療の可能性など関連科と治療時期を協議するためにも胎児診断がつよく望まれる疾患群の一つである。