[II-P-018] Heterotaxy syndromeの房室弁逆流は胎児期から予測可能か?
Keywords:無脾症候群, 多脾症候群, isomerism
【背景】治療の進歩によりheterotaxy syndromeの予後は改善している。しかし、現在でも高度な房室弁逆流を有する症例で治療に難渋することがある【目的】胎児診断されたFontan candidate のheterotaxy syndromeで房室弁逆流を生じる症例を予期できる因子について検討すること。【方法】2008年から2014年8月までに当院にて胎児診断の上で出生した、Fontan手術適応の心形態を有する連続26例のheterotaxy syndrome(asplenia20例、polysplenia6例)を対象とした。初回手術前もしくは新生児期までに房室弁逆流がmild以上となった症例を逆流群:R群(Regurgitation群)、mild未満の症例を対象群:C群(Control群)とした。R群12例、C群14例であった。R群、C群で胎児期房室弁逆流の程度、Tei index、CTAR、肺動脈弁形態、心外型総肺静脈還流異常症の有無について検討した。胎児期の心エコー結果は最終の計測値を使用、検査週数の中央値は35週(31-37週)であった。【結果】胎児期の房室弁逆流はmild以上の症例が5例(mild4例、moderate1例)で、R群4例、C群1例で有意差はなかった(P=0.09)。しかし、1例のみ認めたmoderate症例は出生後も弁逆流が高度であり、生後1か月での弁形成術の実施を余儀なくされた。Tei indexはR群0.39(±0.10)、C群0.39(±0.11)、CTARはR群30.6(±6.8)、C群30.3(±7.7)であり共に有意差は認めなかった(P=0.91,0.94)。肺動脈弁形態は13例が動脈管依存性の肺動脈形態(PAもしくはsevere PS)であり、R群7例、C群6例であり有意差はなかった(P=0.43)。心外型のTAPVCは9例に認め、R群5例、C群4例であり、P=0.48と有意差を認めなかった。【結語】胎児期の心エコー所見からは出生後のheterotaxy syndromeの房室弁逆流の程度を予期することは困難と考えられた。しかし、胎児期にmoderate以上の房室弁逆流を有する症例では出生後の比較的早い段階で介入が必要になる可能性が考えられた。