[II-P-025] 胎児心スクリーニングにおける動脈管屈曲・蛇行
Keywords:胎児, 動脈管, 蛇行
【背景】胎児心エコーによる一次スクリーニングが普及し機器・技術等が発展するのに伴い、ごく軽度の房室弁逆流や極めて小さな筋性部心室中隔欠損等、生後の児の健康状態に影響を及ぼし難い状態も高頻度に発見されるようになった。動脈管(DA)の屈曲・蛇行も多くの症例で認められ問題なく経過することが多いが、DA早期閉鎖やDA瘤破裂等の危険につながり得るかどうかの知見は少ない。【目的】我々の施設でDA屈曲・蛇行と判断された症例群において、その形状・径・流速等および出生後の状態につき後方視的に検討した。【対象】2014年4月より現在までに当院で中期・後期胎児心エコースクリーニングを受けた症例のうち、DA屈曲・蛇行(瘤を含む)と判断された25症例。在胎週数は23週から35週(中央値29週)。【方法】形態をBensonらの報告(1995)を参考に、3 vessel tracheal viewにおいてDAが1)C字型となるが90°以上曲がらない軽度湾曲群、2)C字型だが90度以上曲がる明らかな湾曲もしくはS字状を呈する群、に分類し、最小径・最大流速・生後の状態を検討した。【結果】25例中5例が2)群に分類された。DA最小径は1)群で3.6±0.7mm、2)群で4.2±0.6mmであった(有意差なし)。最大流速は1)群で135±35cm/s、2)群で162±38cm/sとやや2)群で速かったが有意差はなかった。いずれの群においても、DA狭窄により右心負荷を呈した例/生後異常なDA瘤を指摘された例はなかった。【考按】2)群のような形態的に注意を要するかと思われるDA屈曲・蛇行は一定数存在し、またDAの流速はMierkeらの報告(2000)に比し速い症例も認めたが、周産期に臨床的問題となった例はなく、従来散見される報告通り胎児期DA屈曲・蛇行に伴うリスクは高くないことが予想された。一次スクリーニングにおける軽微な所見の危険性の把握は、リスクの早期発見のためにもover-diagnosis回避のためにも重要であるが、今回は症例数が少なく今後の症例蓄積が必要である。