[II-P-027] 胎児先天性心疾患における心不全評価法及びナトリウム利尿ペプチド
キーワード:胎児, 先天性心疾患, 心不全
【背景】胎児先天性心疾患(CHD)における心不全評価法は未だ十分に確立していない。【目的】CHDにおける臍帯血及び新生児血中のナトリウム利尿ペプチドにより、心不全評価法を検証すること。【方法】2012年~2014年までに当院で周産期管理を行なったCHD 64例、正常 64例を対象として、臍帯血及び新生児血中のナトリウム利尿ペプチド(total ANP/total BNP)を測定し、Biophysical profile score(BPS)、Cardiovascular profile score(CVPS)、乳児心不全スコアと比較検討した。CHDは心房内臓逆位症候群(12例)、左心低形成症候群(4例)、右心低形成疾患(7例)、二心室を有するチアノーゼ性心疾患(16例)、非チアノーゼ性心疾患(10例)、不整脈のみ(15例)の6群に分類した。【結果】臍帯血及び新生児血中ナトリウム利尿ペプチドはCHDで有意に上昇しており、BPS、CVPS及び乳児心不全スコアの重症度と良好な相関を示した。新生児血中ANPでの相関が最も強かった。新生児血中ナトリウム利尿ペプチドは臍帯血中と比し、数倍以上に上昇しており、心不全の程度が強くなるほどその上昇率も高かった。CHDの病態別に検討したところ、左心低形成及び右心低形成疾患におけるナトリウム利尿ペプチドの変化より、ANPは主に左心房から、BNPは左心室から産生され、いずれも容量負荷により増加すると推察された。不整脈、房室弁逆流の症例でナトリウム利尿ペプチドは著増し、胎児不整脈治療により正常例と同等にまで低下を認めた。【考察】臍帯血及び新生児血中ナトリウム利尿ペプチドは、心不全の重症度を反映していると考えらえた。一方で、左心低形成及び右心低形成疾患などでは、胎内及び出生後のナトリウム利尿ペプチドが、各疾患群の血行動態に特有の変化を呈することが示された。【結論】臍帯血及び新生児血中のナトリウム利尿ペプチドは心不全評価法として有用であるが、CHDの病態別に評価する必要があると考えられた。