[II-P-028] 心筋ミオシン結合蛋白遺伝子の変異を認め、兄弟で異なる表現型(心筋症、劇症型心筋炎)を呈した一家系
キーワード:心筋ミオシン結合蛋白, MYBPC3, 心筋症
【背景】心筋ミオシン結合蛋白遺伝子は家族性肥大型心筋症・拡張型心筋症・左室心筋緻密化障害の原因遺伝子として知られている。心筋ミオシン結合蛋白遺伝子(MYBPC3)に変異を認め、兄弟で異なる表現型(心筋症、劇症型心筋炎)を呈した一家系を経験したため報告する。
【症例】4人兄弟。両親は血族結婚ではない。第1子(男児)が2歳2か月時に、第4子(女児)が1歳10か月時に同様に劇症型心筋炎の診断で死亡した。第4子は生前ASD・VSDがあり定期的に心エコー検査を受けたが心筋症を疑う所見ではなく、剖検も行ったが心筋症を疑う組織学的所見は認めなかった。第2子(男児)は6歳時に心窩部痛の訴えがあり、心エコー検査にて左室心筋緻密化障害を疑う所見を認めた。そのため遺伝的背景の存在を疑い、この家系に対し全ゲノム検索を依頼した。常染色体劣性遺伝病を想定し、1.発端者である第4子がホモ変異または複合ヘテロ接合変異をもつ、2.父・母がヘテロ変異をもつ、という変異抽出条件でwhole exome sequenceを行った。その結果、MYBPC3遺伝子のホモ変異1個のみが見出された。本遺伝子変異は一塩基置換に伴うアミノ酸置換で、これまでに報告のない変異であった。また両親・第3子(女児、健康)はヘテロ接合性に、第2子はホモ接合性に本変異を認めた(第1子は検体がなく不明)。
【結語】同じホモ変異をもつ第2子・第4子で異なる表現型を呈した。また家族性に劇症型心筋炎と考えられるような急激な心機能低下を乳幼児期に認める例は希少であると考えられた。
【症例】4人兄弟。両親は血族結婚ではない。第1子(男児)が2歳2か月時に、第4子(女児)が1歳10か月時に同様に劇症型心筋炎の診断で死亡した。第4子は生前ASD・VSDがあり定期的に心エコー検査を受けたが心筋症を疑う所見ではなく、剖検も行ったが心筋症を疑う組織学的所見は認めなかった。第2子(男児)は6歳時に心窩部痛の訴えがあり、心エコー検査にて左室心筋緻密化障害を疑う所見を認めた。そのため遺伝的背景の存在を疑い、この家系に対し全ゲノム検索を依頼した。常染色体劣性遺伝病を想定し、1.発端者である第4子がホモ変異または複合ヘテロ接合変異をもつ、2.父・母がヘテロ変異をもつ、という変異抽出条件でwhole exome sequenceを行った。その結果、MYBPC3遺伝子のホモ変異1個のみが見出された。本遺伝子変異は一塩基置換に伴うアミノ酸置換で、これまでに報告のない変異であった。また両親・第3子(女児、健康)はヘテロ接合性に、第2子はホモ接合性に本変異を認めた(第1子は検体がなく不明)。
【結語】同じホモ変異をもつ第2子・第4子で異なる表現型を呈した。また家族性に劇症型心筋炎と考えられるような急激な心機能低下を乳幼児期に認める例は希少であると考えられた。