[II-P-030] Brugada症候群児童における発熱と再分極特性の関係
キーワード:Brugada症候群, SCN5A, 心筋再分極
【背景】Brugada症候群は器質的心疾患を有さずに、発熱や迷走神経緊張時に致死性不整脈を起こすことで知られている。今回、Brugada型心電図を示した学童の平熱期と有熱期の心電図、24時間心電図を記録し、インターバル解析から興味ある結果を得たので報告する。【症例】生来健康な5歳男児。扁桃摘出術の術前検査でBrugada型心電図を指摘された。coved type ST上昇を認め、最終的にターゲット・エクソーム法による遺伝子検査でSCN5Aのナンセンス変異を特定しBrugada症候群と診断した。【検査結果】安静時心電図ではV1からV3にcoved type ST上昇を認め、QT dispersionは40msであった。有熱期(38.5度)の記録ではV1からV3の更なるST上昇(+0.2mV)を観察し、QT dispersionは70msと増加した。マスター負荷試験では心拍数が75から87/minまで上昇した際に、V2のST上昇は低下(-0.1mV)を示した。平熱期の24時間12誘導心電図記録からはQT dispersionは就寝中に増大する(60ms)ことが観察された。【まとめ】現在、無症候であるBrugada症候群児童の経時的な心電図解析を行った。有熱期の心電図で更なるST上昇とQT dispersionの増加を認めているため、心室細動を誘発するリスクが高いと考えている。発熱に対しては速やかな解熱を指導し、キニジンの予防内服も念頭に置いて管理を継続している。