[II-P-034] MRエラストグラフィーを用いた先天性心疾患術後の肝硬度の評価
Keywords:MRI, フォンタン, 肝硬変
【背景】フォンタン手術は、単心室型先天性心疾患(CHD)の生命予後やQOL を著しく改善させたが、その特徴的循環のために、さまざまな長期合併症が報告されている。中でも肝機能障害から肝硬変への進行は予後に大きく影響するため、正確な評価法が求められている。近年、MRエラストグラフィーの技術が開発され肝線維化の評価法として注目されている。しかし小児CHDにおける肝硬度の詳細な検討は少ない。【目的】CHD術後の肝硬度をMRエラストグラフィーを用いて評価し、他の肝線維化マーカーと比較すること。【方法】45名の対象を3群に分け、心内修復術後のICR群(22名, 中央値13.6歳)、フォンタン術後群(11名, 15.4歳)、Control群(12名, 16.7歳)とした。MRエラストグラフィーは肝中央の冠状断面にROIを3か所とり、その平均値をLiver stiffness value(LS)として求めた。心臓カテーテル検査による各種計測値[心係数、体血圧、肺動脈圧、中心静脈圧(CVP)、体血管抵抗(SVR)、肝静脈楔入圧、動脈血酸素飽和度]および肝線維化生化学マーカー(PIIIP, HA, TIMP-1)を測定し、各群間で比較検討した。【結果・考察】肝線維化マーカーは各群間に有意な差は認めず低値であった。LSはフォンタン術後群で有意に高値であった(15.3 vs. 2.4 kPa)。LSはCVPとSVRに良く相関した(r= 0.821, 0.582)。しかしフォンタン群のLSはSVR値に関係なくCVP値とよく相関しており、LSは肝線維化を反映していることが示唆された。【結論】MRエラストグラフィーは小児においても肝硬度を非侵襲的に評価できる有用なツールである。特にフォンタン患者ではバイオマーカーよりも鋭敏に肝線維化を評価することが可能である。