[II-P-035] 心臓MRIからみる心拡大の検討
キーワード:MRI, 心拡大, ファロー四徴症
【背景】cMRIは非侵襲的に血流量を評価できる点が特異性であるが、胸郭全体を視覚的にとらえ、心室容積を数値化できる点でも重宝する。当院でも時流にのり、RVEDVI>150の成人TOF患者に注目し始めているが、同じ右室容積でも左右心室バランスやPSR/TRの程度は様々で、一括りにまとめ難く心室拡大の評価に悩むことが多い。【目的】心拡大のある症例がMRIのどのパラメーターに反映され、手術適応の評価につながるか検討する。【方法】cMRIを施行した二心室疾患70例について、心拡大を示す臨床所見(CTR、心電図電位、心電図電気軸)とcMRI所見(R+LVEDV index、axial画像における心室胸郭面積比(CTAR)、心室中隔の軸)について調べた。さらに、右室拡大症例のなかでTOF-MVOP 17例,TOF-Rastelli 9例,TOF-弁輪温存6例,二心室ハイフロー症例(ASD,PAPVC)5例につき、上記所見を比較した。同時にRV/LV比,LVEDV,LVEFなど各心室パラメータに違いがないか比較した。【結果】総じて有意な相関関係は得られなかったが、CTARや中隔軸の偏位は、著明な右室拡大症例において明らかに逸脱した値をしめした。レントゲンや心電図所見も相関傾向を示すが症例によってバラつきを認めた。PR率,LVEDVI,LVEFなどもRVEDVIとの相関傾向を示す一方で逸脱する症例もめだった。【考察】TOF術後症例のPR-RV拡大と心拡大の関係性は周知の事実だが、RVEDVI高値の症例すべてがその関係性にぴったり当てはまる保証はない。再PVRの判断に向けて複数モダリティの所見を総合的に捉えなければならない。【結語】心臓MRIによる心拡大の評価に、CTARのような視点は有用である。