[II-P-045] 総肺静脈還流異常症における単心室合併の有無による臨床像の相違
Keywords:単心室, 総肺静脈還流異常, 肺静脈狭窄
【目的】二心室を有する総肺静脈還流異常(TAPVD-BV)の治療成績は安定しているが、単心室合併例(TAPVD-SV)のそれは不良である。TAPVD術後肺静脈狭窄(PVS)は予後に大きく影響する。今回、TAPVD-SV とTAPVD-BVの臨床像と死亡リスクとPVS因子について検討した。【対象】2000年1月より2009年12月に当院でTAPVD修復術(TAPVD-R)を行った118(SV:BV=48:70)例を対象に、後方視的に観察期間5年間で検討した。【結果(SV:BV)】男/女=27/21:45/25、TAPVD-1a型=6:23、1b型=22:12、2型=4:16、3型=11:21、混合型=5:4。平均観察期間=2.9:4.8年、術後PVS=7(14%):5(7%)、術後PVS解除術のべ数=6:7、TAPVD-RからPVS解除術までの期間(中央値)=5.9:3.8月、死因がPVS=9(18%):4(5%)、TAPVD-R後生存率(1年/5年)=63/47:95/94%(p<0.001)。SV群単独では、内臓錯位46例(95%)、Glenn術(G)到達率/Fontan術(F)到達率=66:41%。1年生存率(G未到達/G到達/F到達)=7:75:95%(3群間に有意差あり)。全118例を対象に心外型TAPVD、生後30日未満のTAPVD-R、SV、心停止時間、人工心肺時間(CPB)を因子とするCox比例ハザード分析では、CPB(OR 1.008)と単心室(OR 12)が死亡リスク因子であった(p<0.05)。一方、検討した因子の中では有意なPVSリスクは認めなかった。SV群に対しては、G前に房室弁形成術/TAPVD-R施行したものを因子として加えても有意なものは認めなかった。【結語】BV群の予後は良好である。SV群の予後は不良であるが、F到達した例の予後は良好である。単心室に合併するTAPVDは大きな課題として残されている。