第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-06 心臓血管機能

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心臓血管機能②

Fri. Jul 17, 2015 2:20 PM - 2:56 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:糸井 利幸 (京都府立医科大学)

II-P-047~II-P-052

[II-P-047] 小児における心臓足首血管係数(CAVI: Cardio-ankle vascular index)の有用性

田中 優, 平田 陽一郎, 進藤 考洋, 清水 信隆, 犬塚 亮, 岡 明 (東京大学医学部附属病院 小児科)

Keywords:小児, CAVI, 先天性心疾患

【背景】先天性心疾患の内科的・外科的治療の向上により、成人まで達する例が非常に多くなってきている。しかしながら術後遠隔期の問題として、大動脈の弾性低下、大動脈拡張により体心室機能が低下するものがあり注意が必要である。このような大動脈の弾性低下は小児期から起こっているとの報告も散見され、大動脈の弾性を小児でも評価することが重要であると考えられる。近年、成人領域で簡便かつ非侵襲的な血管機能評価としてCAVIが盛んに利用されるようになってきており、動脈硬化性疾患の経過観察や治療効果判定に用いられている。【目的】小児領域でのCAVIの有用性について調べること。特に大動脈に影響を及ぼしやすいとされる先天性心疾患におけるCAVIの正常値との乖離について調べる。【方法】当院で2014年3月から9月までに施行された20歳未満のCAVIについて後方視的に調べた。【結果】対象となった年齢は5歳から19歳(中央値10歳)、62例に対して65回の測定が行われた。正常構造心22例のCAVIの平均値は右4.86±0.46、左4.86±0.49であった。一方大動脈縮窄・離断8例の平均値は4.7、ファロー四徴症3例の平均値は4.6であった。心疾患の中でCAVIが5.5を超える症例は10例あり、内訳は心室中隔欠損症4例、大動脈縮窄3例、完全大血管転位1例、高血圧性疾患2例であった。【考察・結論】小児におけるCAVIは年齢による差はほとんど見られず、正常構造心においては大動脈の弾性は経年的に変化しないことが示唆された。また大動脈拡張を来たしやすいとされる大動脈縮窄、ファロー四徴症におけるCAVIの平均値は、正常心と比較して有意に高いとは言えなかったが、症例によっては高値を示すものも見られた。今後症例数を増やしての検討の他、継時的な変化についても評価が必要である。