[II-P-050] Endo-PAT2000を用いた血管内皮機能評価(2)～先天性心疾患術後患者と健常小児の比較検討～
Keywords:血管内皮機能, 先天性心疾患術後, エンドパット
【目的】血管内皮機能障害の早期診断と治療は動脈硬化の予防や心合併症に対する生命予後の改善に重要である。近年開発されたEndoPAT2000は、成人循環器領域において血管内皮機能測定の実用性・再現性に優れているとされている。今回我々は、先天性心疾患術後患者における血管内皮機能をEndoPAT2000で検討した。【対象と方法】対象は2012年10月～2013年9月までの先天性心疾患術後患者30例（年齢8～27歳、中央値15歳、男性17例）と健常例112例(年齢12～15歳、中央値14歳、男性57例))を対象とした。疾患内訳：フォンタン手術後18例、ファロー四徴症術後4例、重症大動脈狭窄症術後またはバルーン後3例、完全大血管転位Jatene術後2例、その他3例。測定は、EndoPAT2000を用いた。検査前は安静、朝食前に適温・暗室下にて15分間両指尖にプローベを装着、加圧開放前後の血流を測定し正規化RHI(Reactive Hyperemia index)および脈波増大係数(Augumantation index:AI値)を心拍数で補正したAI75を評価した。【結果】RHIは先天性心疾患群術後群において1.61±0.46、健常群1.94±0.64と有意に低値であった(p=0.009)。AI75は、先天性心疾患群術後群において1±13%、健常群-11±10%と有意に高値であった(p＜0.001)。フォンタン手術後と両心室修復術後を比較すると、RHI(1.71±0.45 vs 1.45±0.44)、AI75(2±3% vs -5±4 %)ともに有意差は認めなかった。また、ファロー四徴症術後の患児のRHIは1.23±0.34と低い傾向にあった。【結語】先天性心疾患術後の血管内皮機能は健常群と比較し血管内皮機能が低下し、血管硬化度の上昇している可能性が示唆された。