第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-06 心臓血管機能

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心臓血管機能②

Fri. Jul 17, 2015 2:20 PM - 2:56 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:糸井 利幸 (京都府立医科大学)

II-P-047~II-P-052

[II-P-052] 心室弛緩補正した単一心拍拡張期心室圧断面積関係による心室拡張期Stiffnessの算出

桑田 聖子1,2, 栗嶋 クララ1, 梁 明子1, 岩本 洋一1, 齋木 宏文1, 石戸 博隆1, 増谷 聡1, 先崎 秀明1 (1.埼玉医科大学総合医療センター 小児循環器科, 2.榊原記念病院 小児循環器科)

Keywords:EDPVR, Stiffness, 心室弛緩

【背景】心室拡張末期圧容積関係(EDPVR)は、心室固有の拡張期Stiffnessを表し、その把握は、心室弛緩能とともに、心室拡張能の正しい評価と心不全病態の理解にとって必須事項である。しかしながら、EDPVRの算出には負荷条件を連続的に変化させた時の心室圧容積の同時計測を必要とするため、臨床での応用が難しい。一方、単一心拍における拡張期心室圧容積関係(DPVRSB)の算出は容易であるが、心室固有の拡張期Stiffness以外に、心室流入期にも進行する心室弛緩の影響を主にうける。DPVRSBからEDPVRが推定できれば臨床上非常に有用である。【目的】今回我々は、心室弛緩を補正したDPVRSBは、EDPVRを精度よく反映するという仮説を検証した。【方法と結果】各種先天性心疾患患者(n=18)の心臓カテーテル検査中に、超音波AQ法と高精度圧測定ワイヤーを用いて心室圧断面積関係を構築した。心室弛緩を補正したDPVRSBは、Weiss指数関数Fitで算出した弛緩時定数(τ)から求めた心室圧降下曲線を、実測の拡張期圧曲線から引いた圧曲線を心室断面積変化と組み合わせて構築した。EDPVRは一過性下大静脈閉塞により計測した。両者をpressure=A×e B×volumeに近似し比較した。室弛緩補正のDPVRSBは実測EDPVRを精度よく反映し、両者における共通圧2,5,10mmHgに対する心室断面積は高い相関を示した(r=0.92、P<0.0001)。【考察】心室弛緩を補正したDPVRSBはEDPVRを反映する簡便な方法で、先天性心疾患患者の拡張能評価に有用な情報を提供し、その病態把握に重要な役割を演じる可能性が示唆された。