第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-07 カテーテル治療

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カテーテル治療③

Fri. Jul 17, 2015 1:50 PM - 2:20 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:萱谷 太 (大阪府立母子保健総合医療センター)

II-P-053~II-P-057

[II-P-053] 心外心房間交通を合併した心房中隔欠損症に対しAmplatzer septal occluderを用いて両者を閉鎖し得た1小児例

鳥越 司1, 佐藤 誠一2 (1.新潟市民病院 周産期母子医療センター新生児科, 2.新潟市民病院 小児科)

Keywords:心房中隔欠損, 冠静脈, 虚血

【背景】先天性心房間交通は通常心房中隔欠損症(ASD)であるが、一方で心外心房間交通トンネルはまれで発生学的機序は不明である。臨床的には血行動態異常、手術・カテーテル治療時の心房壁破裂のリスクが報告されている。【目的】ASDに心外心房間交通を合併した症例に対し虚血に注意しながら心房中隔欠損閉鎖デバイス(ASO)を用いて両者を閉鎖し得た症例を報告する。【症例】15歳女児。ASO適応評価の経食道心エコー(TEE)で右心系拡大を伴う径6mmのASDとこれと5mm離れた前上方中隔付近に4mm径の左房へのトンネル開口部を認めた。トンネルは左房からValsalva洞右外側、右房室間溝前方を通過し右房前方へ接続していた。造影CTも同様で右冠動脈と並行し右房室間溝前方を走行するトンネルを認めた。カテーテル検査ではQp/Qs 1.9、肺高血圧はなかった。カテーテル操作はTEEガイド下で行いASDとトンネルとの誤認に注意した。選択的トンネル造影と冠動脈造影(CAG)ではトンネルと冠動脈・静脈の交通は認めず両者を閉鎖する方針とした。9mm deviceを留置し、再度CAGと心電図を施行し異常がないことを確認後detachした。両者ともに閉鎖を認めた。【考察】心外心房間交通の報告は非常にまれで、臨床的には左右短絡による容量負荷といった血行動態異常に加え、手術時のASDとの誤認やバルーン心房中隔裂開術時におけるバルーン誤挿入・拡張による心房壁の破裂といった手技に伴う致死的なリスクが報告されている。ASOにも同様の注意が必要と考えられ、本症例ではトンネル開口部がASDと近接していたがTEEが位置認識に有用であった。また、発生学的機序は不明であるが本症例では形態的に冠動脈・静脈の可能性もあったため、閉鎖には治療前後で虚血に対する慎重な評価を要した。