[II-P-057] TCPC術後に顕在化したPLSVCにAmplatzer Vascular Plugを留置してdesaturationが改善した1症例 -留置栓の形状変化に注目して-
Keywords:AVP, PLSVC, desaturation
【はじめに】従来のコイルを用いた塞栓術は、目的とする血管径が太く血流量が多い場合には、塞栓力や固定性などに問題があり、Amplatzer Vascular Plug(AVP)に改善が期待される。今回我々は、TCPC術後に顕在化したPLSVCに、合併症なくAVPを留置してdesaturationが改善した症例で、中期術後に留置栓の形状が変化した症例を経験した。【症例】12歳8ヵ月、男児。診断:DORV TGA VSD PA。新生児期に右BTシャント術、1歳6ヵ月で両方向性Glenn手術、2歳5ヵ月でTCPC(18mm)が施行された。術後経過は比較的順調であったが、次第にSatが90%代前半に低下した。【AVP留置の実際】12歳3ヵ月時に施行した心カテで、PLSVCがCSへ流入し、desaturationの原因であることが判明した。PLSVC径は6*9mmに計測した。AVPで閉塞することを計画した。比較的急峻なカーブを避ける目的で、FVアプローチではなく左上肢(尺側皮静脈)アプローチを選択した。まずCS側に12mm径のAVP-2を留置した。CS寄りのわずかな狭窄部位から留置を開始し、軽度伸展した形状で留置した。さらに頭側に14mm径のAVPを追加留置した。留置直後からほぼ完全閉塞が確認でき、Satは96%に上昇した。【AVP留置後の形状変化】留置術後1ヵ月での胸部X線では、2個の留置栓の形状に変化は認めなかった。3ヵ月後のX線像で、AVP-2が留置直後に比して横径が延長し長さが短縮していた。留置位置に大きな変化はなかった。AVPには明らかな形状変化は認めていない。【考察】AVP-2は留置術後に徐々に形状変化をきたし、ゆっくりと復元した。閉鎖栓の復元力が血管壁に勝っている可能性があり、太い静脈に留置する際にはmigrationを予防する目的で、より大きな径の留置栓を検討する必要性がある。