第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-08 電気生理学・不整脈

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不整脈(症例)

Fri. Jul 17, 2015 2:20 PM - 2:56 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:加藤 愛章 (筑波大学)

II-P-058~II-P-063

[II-P-060] 小児孤立性心房細動の1例

荒木 徹1, 北田 邦美1, 小寺 亜矢1, 鈴木 嗣敏2 (1.福山医療センター 小児循環器科, 2.大阪府立総合医療センター 小児不整脈科)

Keywords:孤立性心房細動, PV isolation, アミオダロン

【背景】小児期の孤立性心房細動(AF)は稀である。
【症例】10歳、男。家族歴に特記事項なし。小学1年生の心電図検診で異常を指摘されたが放置していた。10歳2ヵ月頃から運動時に強い動悸を自覚するようになり、10歳3ヵ月で当科を受診した。身長148cm、体重53kg、血圧100/60mmHg。身体所見に異常はなかった。ECG所見は洞調律、HR83、PQ間隔0.14s、QRS軸70° 、QTc0.370で異常はなかったが、ホルター心電図、トレッドミル運動負荷心電図でPAC short runを認めた。心エコーに異常はなく、BNP、電解質、甲状腺機能にも異常はなかった。 当初は無治療で経過観察の方針としたが、徐々に動悸の訴えが増強し、頻拍レートは速く(250bpm)、持続時間は長く(20~30分)なった。11歳2ヵ月のトレッドミル運動負荷時にAFを認め、孤立性AFと診断した。競技的運動を禁止とし、アテノロール、フレカイニドを投与したが、コントロール不良であった。13歳9ヵ月にEPSを施行した。安静時は洞調律であったが、イソプロテレノールon/offで頻拍は誘発され、PV起源のAFとtypical心房粗動(AFL)の合併と診断した。AFLに対しcavotricuspid isthmusにablationを施行したが、AFは残存した。13歳10ヵ月で2回目のCAとしてPV isolationを行った。PV内電位が先行するPACは消失したが、最早期がHis束(中隔)のPACからのAFが残存し、完全には抑制できなかった。CAによるAFの根治は困難と考え、14歳2ヵ月からアミオダロン投与を開始したところ、AFは認められなくなり自覚症状も消失した。現在16歳4ヵ月であり、運動時にPACを認めることもあるが、レートコントロールは良好であり、順調な経過である。
【考察】本症例は稀な小児期発症の孤立性心房細動であった。心房全体に不整脈が存在しPV isolationのみでは根治は困難 であったが、CA治療にアミオダロン、フレカイニドを加えることにより症状は軽快した。長期的な治療方針は未定であり今後の課題である。