[II-P-061] by stander CPRにより救命されたQT延長症候群の13歳男児例
Keywords:QT延長症候群, ICD, KCNQ1
【背景】学校心臓検診においてQT延長症候群(以下LQTS)は比較的頻度の高い心電図異常であり、また20歳未満で心事故を起こす頻度が多く、管理法の決定は重要である。今回我々は体育の授業中に心事故を起こし教師により自動体外式除細動器(以下AED)により救命し、ICD植え込み術を施行した一例を経験したので文献的考察を含め報告する。【症例】13歳男児、小学校1年生の学校心臓検診でQT延長を指摘された。初診時はQTc 440msec程度であったが運動負荷心電図で陽性所見があり、運動制限をされて近医で経過観察をされていた。当院紹介受診予定の前日、体育の水泳中に意識消失、水没し体育教師に救出されたのち全身強直間代性けいれんが出現、by standerのCPRとAEDにて蘇生され急性期治療後、当院に救急搬送となった。当院受診時、心電図でQTc 583msecと著明な延長を認め、またV2~V4でnotched T waveもみられた。採血、心臓超音波検査では特記すべき異常を認めず、AEDの解析ではVfを認め、LQTSと診断した。β遮断薬の内服開始、また二次予防の観点からICD植え込み術を施行した。母もQTc 500msecと延長を認めており、その後の遺伝子検査で本人および母にKCNQ1の2か所で点突然変異を認めLQT1と診断した。β遮断薬投与にて経過観察しており、その後は心イベントの発生は認めていない。【考察】by stander CPRにより救命されたLQT1症例では、二次予防としてICD植え込みは推奨されているが、水泳中の心事故が比較的多いことから、ICD植え込み後も水泳禁止を含む運動制限とβ遮断薬の投与は重要である。本症例の重篤な経過が二か所での点突然変異と関係があるかは不詳であり、文献的考察を加えた。