[II-P-064] 当施設におけるソタロールの使用経験
Keywords:不整脈, ソタロール, Kチャネル遮断薬
【背景】ソタロールはKチャネル遮断作用に加えβ受容体遮断作用も有し,様々な頻脈性不整脈に対し有効とされ,小児領域においても使用頻度が増えている.【方法】2007年4月~2015年1月の間に当施設でソタロール投与を開始した9例を対象に後方視的に検討.【結果】投与開始時年齢は,日齢12~12歳9ヶ月,中央値3ヶ月であった.構造的な基礎心疾患の有無では有6例, 無3例.基礎心疾患を有する6例の内訳は僧帽弁閉鎖/フォンタン型手術後,左心低形成症候群/グレン手術後,肥大型閉塞性心筋症,完全型房室中隔欠損症/巨大右心耳/肺動脈絞扼術後,無脾症候群/右心型単心室/グレン手術後,左室内腫瘍で、対象となった不整脈はAT 3例,VT 1例,IART 1例, PAT/PSVT(分類不能) 1例であった. 基礎心疾患を有さない3例での対象不整脈はAVRT 2例,MAT 1例であり,背景としてAVRTのうち1例は初診時Tachycardia induced cardiomyopathyを呈し,ABL施行後もAVRTが頻発していた. AVRTのもう1例は胎児頻脈に対し経胎盤的薬物治療後であった. ソタロール使用理由は,既使用抗不整脈薬が不応のための変更・追加 6例,第1選択薬としての開始 2例,III群薬静注から内服へ変更のための開始 1例であった.平均1.8±1.0mg/kg/日を初期量として,平均3.6±1.6mg/kg/日で維持されていた.副作用として,徐脈のため減量・中止を要したものが3例,うち中止後に再燃したものが1例だった.著明なQT延長を認めた症例はなく,TdPの誘発も認めなかった.ソタロールにより,いずれの症例でもいったんは対象不整脈のrhythm controlが得られたが,9例中2例(左室内腫瘍例,巨大右心耳合併例)で再燃を認めた.その2例についても,ソタロールに他剤(フレカイニドorランジオロール)を併用することで最終的にcontrolが可能であった.【結論】治療抵抗性不整脈に対する自験例での検証ではソタロールは比較的安全かつ有用であった.