第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

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1-08 電気生理学・不整脈

ポスター
抗不整脈薬

2015年7月17日(金) 13:50 〜 14:20 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:渡邉 まみ江 (九州病院)

II-P-064~II-P-068

[II-P-065] 先天性心疾患の周術期に発生する難治性の頻脈性不整脈に対するランジオロールおよびアミオダロンの当院での使用経験。

佐藤 正規1, 上田 知実1, 石井 卓1, 吉敷 香菜子1, 中本 祐樹1, 稲毛 章郎1, 嘉川 忠博1, 高橋 幸宏2, 朴 仁三1 (1.榊原記念病院 循環器小児科, 2.榊原記念病院 小児心臓血管外科)

キーワード:難治性不整脈, ランジオロール, アミオダロン

【背景】
心臓手術の周術期に発生する難治性の頻脈性不整脈に対するランジオロールやアミオダロンの有効性に関しては近年報告が多いが、乳児期や先天性心疾患の領域での具体的な投与量や有効性についての報告は少ない。
【目的】
当院で2010年から2014年の間に56件の先天性心疾患の周術期に発生した難治性の頻脈性不整脈に対し用いたランジオロールまたはアミオダロンの使用状況について検討すること。
【結果】
対象は男性35名、女性21名の計56名で、年齢中央値は1.9歳(0~40)で1歳未満が29名(52%)であった。術式は右室流出路再建術が10例、Fontan型手術が10例、心房中隔欠損または心室中隔欠損閉鎖術が8例、房室弁形成術が7例、肺動脈絞扼術が6例、Glenn手術が6例、その他が24例であった。対象となった不整脈は心房頻拍が46%、房室接合部頻拍が12%、心室頻拍が8%、心室性期外収縮が5%、その他が29%であった。洞調律維持を有効として評価した。
使用薬剤は、ランジオロール単独が42例、アミオダロン単独が9例、併用が5例で、使用期間はランジオロールが中央値2 日(1~18)、アミオダロンが3日 (1~13)であった。また、ランジオロールは最大投与量2.0μg/kg/min(0.5-20)で78%の有効率で、アミオダロンは最大投与量5.5μg/kg/min(3.0-6.7)で85%の有効率であった。内服への移行率はランジオロールで54%、アミオダロンで53%であった。両群で明らかな有害事象は認めなかった。
【考察】
先天性心疾患の周術期の頻脈性不整脈に対するランジオロールおよびアミオダロンは、心機能低下を起こさず副作用も少ないため、安全に使用でき、特にランジオロールについては大部分の患者で少量でも効果が得られることが示唆された。文献的考察も含めて報告する。