[II-P-067] 上室性頻拍発作持続による挫滅症候群様病態が高K血症に至り、β遮断薬およびNaチャネル遮断薬と相まって致死的不整脈をきたしたFontan術後の1例
Keywords:高K血症, Naチャネル遮断薬, β遮断薬
【背景】血清電解質異常は不整脈発症に密接に関連し、中でも血清Kの恒常性の維持は重要で、高K血症は心停止に至る重篤な病態であるがその原因は様々である。【症例】19歳女性、右側相同、右室型単心室症Fontan術後。上室性頻拍発作の既往あり、発作を反復するため前医にてβ遮断薬、Naチャネル遮断薬および抗血小板薬を内服中であった。上室性頻拍発作の持続あり、その後めまいと動悸が出現したため救急搬送となった。当院到着時、ECGにてwide QRSの徐脈で血圧低下、また血清K 7.2 mEq/mlと高値を認めた。アミオダロン投与、メイロン補正にて徐々にnarrow QRS tachycardiaとなったため、心室頻拍あるいは房室接合部頻拍と考えて電気的除細動を施行したところ、その後洞調律へ復帰した。発作後の採血で、Naチャネル遮断薬(フレカイニド)の血中濃度は1120 ng/ml (有効域;200‐1000 ng/ml)と高値を示した。入院後はアミオダロンの内服を導入、Naチャネル遮断薬は中止し、またβ遮断薬も減量したところ、血清K 4.2mEq/mlに低下し、その後は発作なく経過した。【考察】上室性頻拍持続による循環破綻から細胞破壊に至り、挫滅症候群様病態の結果Kが上昇したことに加え、β遮断薬が高K血症持続に関与し、更に高容量のNaチャネル遮断薬の影響で心筋伝導が遅延したことでwide QRSの徐脈をきたしたと考えられた。【結論】頻拍持続による循環破綻は挫滅症候群様病態から高K血症の原因となる場合がある。不整脈を有する心不全患者では血清K調節に精通した不整脈、循環管理が重要である。